いきなりですが問題です.
青・緑・黄・赤のカードが1枚ずつあり,それぞれには5〜6種類の「えと」が描かれています.黄の絵柄は次のとおりです.
誰かに,えとの一つを心の中で選んでもらいます.そしてカードを渡し,選んだえとの絵があるカードを,すべて教えてもらいます.
その答えから,どのえとを選んだのかが,分かるというのです.
どうしてでしょうか.
元ネタは以下の雑誌のpp.42-43です.「干支透視術」と題しています.
プレジデントFamily (ファミリー)2018年 1月号 [雑誌]
- 作者: プレジデントFamily編集部
- 出版社/メーカー: プレジデント社
- 発売日: 2017/12/05
- メディア: Kindle版
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といったところで解答です.
えとの12種類の生き物に,番号を振っておきます.ねずみ=1,うし=2,とら=3,うさぎ=4,たつ=5,み=6,うま=7,ひつじ=8,さる=9,とり=10,いぬ=11,いのしし=12です.
次に,それぞれのカードの絵柄は以下のとおりとします(表示は,えとの順ではなく,シャッフルします).
- 赤:ねずみ,とら,たつ,うま,さる,いぬ
- 黄:うし,とら,み,うま,とり,いぬ
- 緑:うさぎ,たつ,み,うま,いのしし
- 青:ひつじ,さる,とり,いぬ,いのしし
カードのそれぞれの色に,番号を割り当てます.赤=1,黄=2,緑=4,青=8です.
そうすると,どのカードを選んだかで,次のとおり,えとが分かるという次第です.
- 赤だけ…番号の合計は1…ねずみ
- 黄だけ…番号の合計は2…うし
- 黄と赤…番号の合計は3…とら
- 緑だけ…番号の合計は4…うさぎ
- 緑と赤…番号の合計は5…たつ
- 緑と黄…番号の合計は6…み
- 緑と黄と赤…番号の合計は7…うま
- 青だけ…番号の合計は8…ひつじ
- 青と赤…番号の合計は9…さる
- 青と黄…番号の合計は10…とり
- 青と黄と赤…番号の合計は11…いぬ
- 青と緑…番号の合計は12…いのしし
1,2,4,8というのは,要は2進数です.ただし,えとの番号を0からではなく1から始めることで,「どのカードも選ばない」という状況は発生しません.
うまくできているといえばできているのですが,うま(2進数では0111)やいぬ(同1011)のように,4枚のうち3枚選ばないといけない(3枚に出現している)というのは,1枚だけのえとの生き物からすると,不公平感もあります.そこで問題です.
カードから選べるのは最大2枚までにして,上記と同様に「干支透視術」をするには,どのように変更すればいいでしょうか.
えとの再配置の前に,(区別のある)4枚のカードから「最大2枚」を選ぶとしたとき,何通りになるかを見ておきます.1枚だけ選ぶのは,4通りです.2枚選ぶのは,順列ではなく組み合わせである(「青と黄」という選び方は,「黄と青」という選び方と同じ)ことに注意すると,6通りです.合わせて10通りで,えとの12に届きません.
そこでカードを5枚にします.場合の数は,1枚だけだと5通り,2枚なら10通りで,合計15通りですので,えとに対応できます.
えとの12の生き物の番号は変更せず,カードとえととの対応づけには,3進数を採用して以下のとおりとしましょう.
- 赤(1):ねずみ,うさぎ,うま,とり
- 黄(2):うし,たつ,ひつじ,いぬ
- 緑(3):とら,うさぎ,たつ,いのしし
- 青(6):み,うま,ひつじ
- 白(9):さる,とり,いぬ,いのしし
赤と黄にはそれぞれ,えとの番号を3で割って余りが1と2になるものが入ります.緑と青は,えとの番号を3で割ったときの余りを引いてから,9で割ったときの余りです.新たに導入した白については,えとの番号が9以上です.
どのカードを選んだかにより,判定結果は以下のとおりとなります.
- 赤だけ…番号の合計は1…ねずみ
- 黄だけ…番号の合計は2…うし
- 緑だけ…番号の合計は3…とら
- 緑と赤…番号の合計は4…うさぎ
- 緑と黄…番号の合計は5…たつ
- 青だけ…番号の合計は6…み
- 青と赤…番号の合計は7…うま
- 青と黄…番号の合計は8…ひつじ
- 白だけ…番号の合計は9…さる
- 白と赤…番号の合計は10…とり
- 白と黄…番号の合計は11…いぬ
- 白と緑…番号の合計は12…いのしし
めでたしめでたしと言いたいところですが,今度は青のカードだけ3種類(他は4種類)というアンバランスが生じました.
思いつく対応策は,えとにない絵柄の追加です.素直な発想としては,「ねこ」を青のカードに入れることですが,子ども向けのキャラクターというのも,いいかもしれません.
*1:967+967の筆算から始まり,10個足して,9670になれば,間違いなく筆算できているというものです.ひき算バージョンも,掲載されていました.