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干支透視術

いきなりですが問題です.

青・緑・黄・赤のカードが1枚ずつあり,それぞれには5〜6種類の「えと」が描かれています.黄の絵柄は次のとおりです.

誰かに,えとの一つを心の中で選んでもらいます.そしてカードを渡し,選んだえとの絵があるカードを,すべて教えてもらいます.
その答えから,どのえとを選んだのかが,分かるというのです.
どうしてでしょうか.

元ネタは以下の雑誌のpp.42-43です.「干支透視術」と題しています.

プレジデントFamily (ファミリー)2018年 1月号 [雑誌]

プレジデントFamily (ファミリー)2018年 1月号 [雑誌]

「プレジデントFamily」は,1年前にも記事にしていました(答え合わせをどこまで厳しくすべき?―プレジデントFamilyに見る,かけ算の順序).「算数が大得意になる」という特集とのことで,Kindle版を購入して読みました.今回,「かけ算の順序」関連は見当たらず,低学年向けには10マス計算・64マス計算とエレベーター算*1が,高学年向けには面積図・線分図が取り上げられていました.
といったところで解答です.

えとの12種類の生き物に,番号を振っておきます.ねずみ=1,うし=2,とら=3,うさぎ=4,たつ=5,み=6,うま=7,ひつじ=8,さる=9,とり=10,いぬ=11,いのしし=12です.
次に,それぞれのカードの絵柄は以下のとおりとします(表示は,えとの順ではなく,シャッフルします).

  • 赤:ねずみ,とら,たつ,うま,さる,いぬ
  • 黄:うし,とら,み,うま,とり,いぬ
  • 緑:うさぎ,たつ,み,うま,いのしし
  • 青:ひつじ,さる,とり,いぬ,いのしし

カードのそれぞれの色に,番号を割り当てます.赤=1,黄=2,緑=4,青=8です.
そうすると,どのカードを選んだかで,次のとおり,えとが分かるという次第です.

  • 赤だけ…番号の合計は1…ねずみ
  • 黄だけ…番号の合計は2…うし
  • 黄と赤…番号の合計は3…とら
  • 緑だけ…番号の合計は4…うさぎ
  • 緑と赤…番号の合計は5…たつ
  • 緑と黄…番号の合計は6…み
  • 緑と黄と赤…番号の合計は7…うま
  • 青だけ…番号の合計は8…ひつじ
  • 青と赤…番号の合計は9…さる
  • 青と黄…番号の合計は10…とり
  • 青と黄と赤…番号の合計は11…いぬ
  • 青と緑…番号の合計は12…いのしし

1,2,4,8というのは,要は2進数です.ただし,えとの番号を0からではなく1から始めることで,「どのカードも選ばない」という状況は発生しません.
うまくできているといえばできているのですが,うま(2進数では0111)やいぬ(同1011)のように,4枚のうち3枚選ばないといけない(3枚に出現している)というのは,1枚だけのえとの生き物からすると,不公平感もあります.そこで問題です.

カードから選べるのは最大2枚までにして,上記と同様に「干支透視術」をするには,どのように変更すればいいでしょうか.

えとの再配置の前に,(区別のある)4枚のカードから「最大2枚」を選ぶとしたとき,何通りになるかを見ておきます.1枚だけ選ぶのは,4通りです.2枚選ぶのは,順列ではなく組み合わせである(「青と黄」という選び方は,「黄と青」という選び方と同じ)ことに注意すると,6通りです.合わせて10通りで,えとの12に届きません.
そこでカードを5枚にします.場合の数は,1枚だけだと5通り,2枚なら10通りで,合計15通りですので,えとに対応できます.
えとの12の生き物の番号は変更せず,カードとえととの対応づけには,3進数を採用して以下のとおりとしましょう.

  • 赤(1):ねずみ,うさぎ,うま,とり
  • 黄(2):うし,たつ,ひつじ,いぬ
  • 緑(3):とら,うさぎ,たつ,いのしし
  • 青(6):み,うま,ひつじ
  • 白(9):さる,とり,いぬ,いのしし

赤と黄にはそれぞれ,えとの番号を3で割って余りが1と2になるものが入ります.緑と青は,えとの番号を3で割ったときの余りを引いてから,9で割ったときの余りです.新たに導入した白については,えとの番号が9以上です.
どのカードを選んだかにより,判定結果は以下のとおりとなります.

  • 赤だけ…番号の合計は1…ねずみ
  • 黄だけ…番号の合計は2…うし
  • 緑だけ…番号の合計は3…とら
  • 緑と赤…番号の合計は4…うさぎ
  • 緑と黄…番号の合計は5…たつ
  • 青だけ…番号の合計は6…み
  • 青と赤…番号の合計は7…うま
  • 青と黄…番号の合計は8…ひつじ
  • 白だけ…番号の合計は9…さる
  • 白と赤…番号の合計は10…とり
  • 白と黄…番号の合計は11…いぬ
  • 白と緑…番号の合計は12…いのしし

めでたしめでたしと言いたいところですが,今度は青のカードだけ3種類(他は4種類)というアンバランスが生じました.
思いつく対応策は,えとにない絵柄の追加です.素直な発想としては,「ねこ」を青のカードに入れることですが,子ども向けのキャラクターというのも,いいかもしれません.

*1:967+967の筆算から始まり,10個足して,9670になれば,間違いなく筆算できているというものです.ひき算バージョンも,掲載されていました.