いきなりですが問題です.以下の問いを,小学生向けの出題にアレンジしてください.
質問2 登山道を上ってきた登山者がA地点にいます.その先を見ると道は4つに分かれています.その4つの道をどれに進んでも,道は3つに分かれます.さらに,それらの道をどれに進んでも,道は5つに分かれます.しかし,どの道を選んでも行き止まりになっているそうです.登山者にとって,A地点から行き止まりまでのルートは全部でいくつあるでしょうか.
元ネタは,以下の本のp.69です.Kindle版を読み終えました.

AI時代を切りひらく算数---「理解」と「応用」を大切にする6年間の学び
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本日の記事は,上記の答えを求めよというものではありません.質問2は,かけ算の順序論争をうかがわせる中で出題しており,「この問題の解答が,(4×3)×5=12×5=60(ルート)であることに異議を唱える人は未だ会ったことがありません.」と続けています.
といったところで検討です.この質問2について,「どの道を選んでも行き止まりとなっており,実用的でない」「組み合わせの数が大きい」の2点が指摘できます.
前者の改善に関しては,「スタート地点」「中間地点1」「中間地点2」「ゴール地点」を用意するのが一案です.スタート地点から中間地点1の間には,4つの異なる道がある(どの道を選んでも,中間地点1へ行く)とし,中間地点1から中間地点2へは同様に3つの道,中間地点からゴール地点までは5つの道がある,と読み替えます.
そしてスタンプラリーにします.それぞれの道の途中に,スタンプポイントを設けます.道ごとに異なるスタンプとするのはもちろんですが,引き返さない(スタート地点から中間地点1の間で複数のスタンプを押さない.他の地点間も同様)よう,スタンプラリーの参加者に指示します.そうすると,用意するスタンプの数は,4+3+5=12種類なのに対し,押される3つのスタンプの組み合わせ,結局のところスタート地点からゴール地点までのルートは,4×3×5=60通りとなります.
ところで,4×3×5=60という式で,答えを求めていいのでしょうか.
実際のところ,場合の数の「積の法則」に基づいています.2つの乗算記号を使用しているのは,2つの「直積」だからです.
そう考えてみると,小学校の算数で,そのような式に表すことは望まれていません.先月,教科書展示会にて来年度より使用される算数教科書をざっと見ましたが,「場合の数」の単元(教科書によって単元名は異なりますが)で,かけ算の式は見かけませんでした.
式ではなく,「起こり得る場合を順序よく整理する」*1を行えるようにするには,質問2に現れる数を,もっと小さくすべきでしょう.「4」「3」「5」をそれぞれ,「2」「3」「2」くらいにすると,起こり得る場合を過不足なく表すことができそうです.
前述のスタンプラリーと組み合わせます.最初の2つの道には「アサガオ」と「ヒマワリ」,次は「ライオン」と「キリン」と「ゾウ」,そして最後は「カブトムシ」と「テントウムシ」の絵柄のスタンプを置いておきます.そうすることで,3つのスタンプの並びは
- アサガオ―ライオン―カブトムシ
- アサガオ―ライオン―テントウムシ
- アサガオ―キリン―カブトムシ
- アサガオ―キリン―テントウムシ
- アサガオ―ゾウ―カブトムシ
- アサガオ―ゾウ―テントウムシ
- ヒマワリ―ライオン―カブトムシ
- ヒマワリ―ライオン―テントウムシ
- ヒマワリ―キリン―カブトムシ
- ヒマワリ―キリン―テントウムシ
- ヒマワリ―ゾウ―カブトムシ
- ヒマワリ―ゾウ―テントウムシ
となって,12通りです.
この組み合わせについて,かけ算で表せること(2×3×2=12)を発見できれば,質問2を応用題とすることも,可能となってきます.受験算数における学習としては,ありかもしれません.
*1:現行および次期の,(解説のつかない)小学校学習指導要領の算数に記載されています.第6学年です.