わさっきhb

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四角形を描こう

 いきなりですが問題です.

 図の点A~Lから,4つの点を選んで結び,図形を作ります.
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 以下の図形を作りましょう.
① 正方形
② ひし形
③ 長方形
④ 平行四辺形
⑤ 等脚台形
⑥ 台形
⑦ 凧形
⑧ ①~⑦のいずれでもない四角形

 2点,注意することがあります.図形の名称はいずれも,排他的とします*1.例えば「長方形」は,正方形でない長方形を意味します.そうしないと,正方形1つが①~⑦すべての解となってしまいます.
 もう一つの注意点は,各頂点の位置関係です.AJとCLは,大きい円の直径であり,円の中心で直交します.BKも直径ですが,円の中心をOとしたとき,∠AOCの二等分線の一部となります.なお,大きい円の直径は小さい円の直径のちょうど2倍として,描いていますが,これは必須の要件ではありません.
 といったところで解答例です.
① 正方形:ACJL
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② ひし形:DCGL
f:id:takehikom:20190907121010p:plain
③ 長方形:ABJK
f:id:takehikom:20190907121018p:plain
④ 平行四辺形:AEJH
f:id:takehikom:20190907121023p:plain
⑤ 等脚台形:DCJI
f:id:takehikom:20190907121029p:plain
⑥ 台形:ABEL
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⑦ 凧形:DFJI
f:id:takehikom:20190907121045p:plain
⑧ ①~⑦のいずれでもない四角形:ABGK
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 元ネタです.

算数授業研究 Vol.124 論究XV

算数授業研究 Vol.124 論究XV

 本記事では,4つの点を結びました*2が,授業は以下のようにしています(p.52).

 これまでの四角形の学習は,4本の直線で囲まれた図形が見えているので,辺の長さや角の大きさの関係が見えやすかった。
 そこで,既習の図形を「対角線」で統合的に捉え直す題材を考えてみた。これは,大小2つの円の中にある12個の点のうち,4個を選んで直線を結ぶ。
 だがそれは4本の辺として引くのではなく,2本の直線だけを引かせる。つまり,子どもには四角形の全体像が見えない状態にある。その状態で四角形が何かを判断させるわけである。(以下略)

 この要領で,「2本の直線だけを引かせ」た状態の長方形は,次のように図示されます(原文では,ABJKの頂点名は書かれていません).
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 子どもたちの反応が興味深かったので書き出します(p.53).

 子どもは,①の正方形と②のひし形は,すぐに判断することができる。対角線が垂直に交わっていることと,対角線の端を結んだ形の四角形が見えやすいからである。
 一方,③の長方形と④の平行四辺形は分かりにくい。多くの子どもが③を平行四辺形と間違えた。どうしてか聞いてみると,「2組の辺が平行で,辺が斜めになっているように見えるから」と答えた。子どもは,対角線から端を結んだ形を想像していることが分かった。そこで,「③は対角線の交点からの長さを見てごらんよ。④と比べてみるといいですよ」と声をかけた。すると,③と④の対角線を比べて,③は平行四辺形ではないことを理解した。

 平行四辺形ではなく長方形,というのは,以前にサブブログで取り上げています.

 ところで,四角形ABJKが長方形であることを証明するには,どうすればいいでしょうか.元ネタでは,長方形の対角線を引いた図のすぐ下に,「[根拠]長さが同じで交点で2等分される。」と書かれています.「長方形の2本の対角線は,長さが同じで交点で2等分される」という性質(命題)の逆を,使用しているわけです.
 これ以外にも,直径に対する円周角が直角であることや,円の中心Oに関して∠AOB=x,∠AOK=y(このときx+y=180°)とおいて,三角形の内角の和と二等辺三角形の角度に注意しながら,∠BAKがx+yの半分であることを導く(wikipedia:タレスの定理)といった方法が考えられます.


 画像生成はRubyスクリプトとし,ソースファイル(quadrilateral-drawer.rb)はGistで公開しました.
 「ruby quadrilateral-drawer.rb ABJK」のように実行すると,円と点線と頂点を描いた画像(base.png)と,その上にABJKを結んで長方形を描いた画像(ABJK.png)をカレントディレクトリに作成します.なお実行中にImageMagickのconvertコマンドを呼び出しています.
 引数なしで「ruby quadrilateral-drawer.rb」と実行すると(convertコマンドを使用せず,Rubyだけの処理となります),点A~Lから,4つの点を選んで結んでできる形状を一つ一つ判定し,最後に集計します.集計結果を並べ替えて,日本語を添えておきます.

             SQUARE:   16 figures(正方形)
            RHOMBUS:   16 figures(ひし形)
          RECTANGLE:   32 figures(長方形)
      PARALLELOGRAM:   32 figures(平行四辺形)
ISOSCELES_TRAPEZOID:  256 figures(等脚台形)
          TRAPEZOID:  128 figures(台形)
               KITE:  320 figures(凧形)
      QUADRILATERAL: 4128 figures(その他の四角形)
        INTERSECTED: 4576 figures(辺が交差のため四角形が作れない)
           COLINEAR: 2376 figures(3点が同一直線上のため四角形が作れない)

 INTERSECTEDになる例としてABKJ*3が,COLINEARになる例としてADFGがあります.
 いずれの値も,8の倍数です.これは,例えば正方形ACJLについて,4点をとる順序を変えることで,ACJLを含め8つの同一図形ができる(12点から4点をとる「数珠順列」となる)からです.また値の和は11880で,これは12点から4点を取って並べる総数となる,12×11×10×9と合致します.
 正味の図形の数はというと,正方形については16÷8=2種類で,具体的にはACJLとDFGIです.ひし形も16÷8=2で,図形はDCGLとAFJIの2種類ですが,これらは合同なので,実のところ1種類です.長方形は大小1つずつです.8で割っても516通りあるという,QUADRILATERALが何種類になるかを求めるのは,ちょっと大変そうです.

*1:https://takehikom.hateblo.jp/entry/20180404/1522783460(トピック2: 排反的な(exclusive)定義と包摂的な(inclusive)定義)をご覧ください.

*2:そのほか,元ネタの⑦も等脚台形だったのですが,本記事では,等脚台形でない台形を選びました.直線BKが,∠AOCの二等分線であることから,AL∥BKが言えます.

*3:長方形になるABJKと,点の順番が異なっています.順番が異なっていても,それぞれで四角形を作ることができるペアも見つかっており,例えばACEGとAECGが該当します.