「ただいま.梅の下草刈り完了っと…お前ら,食卓にノートを広げてお勉強か」
「うん」
「これおわったら,どこかつれてってくれるんでしょ?」
「すえの子よ,まあ,そのつもりやが」
「パパ,栗,あった?」
「ん~,ついでに栗の木ぃの下草も刈ったが,実ぃは落ちてなかったなあ」
「えっ,クリあるの?」
「あるやん.去年,とりに行ったやないの」
「そうやったっけ?」
「梅畑に1本だけな,栗の木があるねん.収穫は,もうちょっと先やな」
「ところで,栗の収穫の仕方って,知ってるか?」
「…どうするの?」
「ミカンやリンゴみたいに,木ぃに実ってるのを,手でもぐっちゅうわけにいかんねんで」
「何言ってるのパパぁ.ハサミみたいなやつでつかんで,カゴに入れるんでしょ」
「せやな.そもそもイガがあるから,手ぇで持つのが無理や.落ちてるイガを踏んで,実ぃだけ取り出すんが基本やが…」
「…」
「(ここでボケよう)そうして収穫したらな,刺身にして食べられるんや.栗の刺身って,知ってるか?」
「なにそれ,きいたことないけど」
「パパ,すえの子ちゃんが何も知らないからって,ボケちゃだめ!!」
「すまんの.ま,栗は焼いて食べるんが基本かな」
「おさしみってさあ,さかなやん」
「おっと,すえの子よ,魚以外でも刺身になるんがあるぞ…筍や」
「たけのこのさし身! テレビで見たことある!」
「あるのぉそんなん」
「採ったばかりでないと,あかんねんけどな」
「はい集中して勉強する! 遊びに行けやんで!!」
「はぁい」
「は~い」