何度読んでも引っかかりを感じた2件を,紹介します.
設問が英語
8つのポイントの一つに,次の項目がありました.
英語:設問が全て英語(確定)
英語のテストなんだから設問は英語に関することに決まっているじゃないかと笑ってしまい,次に,「設問が全て英文」と書けばよかったのではないかと思いました.
ここで,2019年の大学入試センター試験の英語(筆記)の問題を参照しました*1.選択肢は,単語や,「(A)→(A)→(A)」から「(B)→(B)→(B)」までの8つの中から一つを選ぶなど,「英文」でないものがありました*2.
大問の設問文はすべて日本語で,それらは英文になっても支障はないかなと感じました.結局のところ「英語」か「英文」かよりも,「設問」の曖昧さに起因する話だったのでした.
採録条件の指示
- 渡辺博芳: "論文必勝法:査読を依頼されたら -より良い査読報告書の書き方-", 情報処理, Vol.61, No.1, pp.102-107 (2020). http://id.nii.ac.jp/1001/00201065/
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たくさん査読報告書を作成したり,依頼して取りまとめたりしてきたわけではないとはいえ,全体的に納得の内容でした.
ただ1件,違和感を抱いたのは,p.104右カラムの次の文です.
採録条件は「~してください」という形で著者が行うべき対応を具体的に指示する.
直後に表を参照し,「○○が分かりません.」で終わらせず「明確になるように説明を追記してください.」,「○○ではないでしょうか.」についても「説明を追記し,○○であることを明確に示してください.」を続けることを,具体的な指示の記述例としており,これについては異論がありません.
それでも採録条件は,「著者への指示」ではなく,「修正した原稿が満たすべき要件」を書くのが本義であり,著者に対して「~してください」ではなく,論文(の記載内容)が「~であること」を示すべきではないかと思うのです.
これについては,自分が書いたり受け取ったりしてきた査読結果を公開するわけにいかず,また検索してもよい情報が得られませんでした.経験を増やしながら,著者に伝わる採録条件・参考意見の書き方を,今後も考えていくことにします.
*1:http://www.asahi.com/edu/center-exam/shiken2019/mondai01day/english.html
*2:英語(リスニング)の第1問・問1 http://www.asahi.com/edu/center-exam/shiken2019/mondai01day/listening.html は,4つの絵から選ぶ問題ですが,"What might the character look like?"という設問文がついています.