「ただいま…ふぅ.久しぶりのスーツ,肩が凝ったよ」
「パパ,おかえり~」
「パパだ~」
「おう,さきの子にすえの子か」
「あれ? パパ,かっこいい服,着てなかったっけ?」
「スーツを着て,家を出たけど,着替えも持ってっててな」
「へえ」
「パパ,おつかれさま」
「あ~はいはい」
リュックサックから,イオンモールのビニル袋を取り出し,テーブルに置いたところ,さきの子とあとの子が,そこに近づきました.
「パパ,何か買って来てくれたん?」
「なにこれなにこれ~」
「おいおい,見てもしゃあないぞ.入ってんの,汗のついたワイシャツやねんから」
「いや! そんなん,いや!」
「うちも~」
「洗濯機へは,自分で持ってくよ」
「あ,パパ,ワイシャツは別にして洗うから,洗濯機の上ね」
「ああ,袋のまま,せんたっきの上に置いとかよ」
「ところで,さきの子に,すえの子よ…これ,食べ物かなんかと思たんか?」
「だって,イオンのふくろやもん」
「何か買うてきてくれたんかと思ったのにぃ」
「う~ん,ほなら…帰りに買ぉた,こいつを1粒,かなあ」
「袋ごとは,やらんぞ.一人1粒や…ほい,まずはさきの子」
「やったぁ! パパ,ありがとぉ」
「んで次は,すえの子やな」
「パパ,ありがと」
「ママは?」
「は~いはい,ママのんも,あるよ.1粒な」
「ありがとう」
「ところで,あとの子は…と思てたらやって来たよ」
「ほら,お前にも1粒な.しかし素晴らしい嗅覚やなあ」
ここで和歌山弁講座を.「置いとかよ」を標準語で表すと,「置いておくよ」です.なお「せんたっき(洗濯機)」と「ほなら(それなら)」は,和歌山に来るより前から個人的に使っていた言い方です.