わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

運賃は150円

 某年月日,帰りのバスから降りるのに,ふだんよりも時間がかかりました.
 時間がかかった原因は,ほどなく説明します.和歌山バスですので,バスの後ろ(または中央)から乗って,下車時に,前方の運賃箱に料金と整理券を入れ(またはICカードをタッチし),前から降りるというのを頭に入れて,読み進めてください.
 自分はいつものように,大学のバス停で乗車しました.運転席のすぐ後ろの席に座ってから,メガネをケースに入れ,ワイヤレスイヤホンを取り出して耳に差し込みました.15分ほどPodcastを聴き,beatmania IIDXの楽曲に切り替えました.乗った時間帯では,大学を出発したとき,少し空席もありますが,延時(のぶとき)あたりで座席は埋まり,土入橋(どうにゅうばし)のバス停で,昔は「住金(すみきん)」と呼ばれていた,wikipedia:日本製鉄関西製鉄所和歌山地区からの乗客で,非常に混み合います.
 ともあれ終点のJR和歌山駅に到着しました.自分はさっと立ち上がりましたが,通路の人を抜かすわけにもいきません.
 手刀を切る動作で通路に立つと,左側の最前列の座席の人も立ち上がりまして,自分のすぐ前に位置しました.見た目は成人男性です.なのですが,パリッとしていません.服装に違和感があり,ほどなく,汚れてもいい服であることに気づきました.
 この人が支払うとき,運転士さんに何やら言いました.こちらはイヤホンで音楽を聞いていたので,すべてのやりとりが聞き取れたわけではありませんが,整理券を手に,土入橋から乗車したことをアピールしており,そこで運転士さんは操作して,「150円です」と言っていました.この区間,大人料金は290円なので,障害者割引が適用されたわけです.
 そこでこの人は,もたつきながら,500円玉を取り出しました.和歌山バスでは,運賃箱にお金を入れると,おつりは出ません.なので運賃箱に備え付けの両替機で,両替をします.500円の投入に対し,百円玉が4枚,五十円玉が1枚,そして十円玉が,5枚出てきました.
 ふたたびもたつきながら,百円玉のうち1枚と,十円玉を5枚,運賃箱に入れていました.運転士さんの「整理券も」の声に,あわてて投入しました.両替機のトレイの残額を手に取り,降りていきました.
 ここまで見届けてから,自分の番です.kinocaのカードをタッチして,さっさと降りました.
 先ほどの服装の男性が,歩道をゆっくりと歩いていました.手にしたおつりを,財布に入れていたのかもしれません.
 ちょうど自分が,その男性の右隣に来たときに,間に別の男性が入りまして,「マナー」を含む短い叱りつけをして,足早に去っていきました.パリッとした身なりでした.叱られた側は困惑の表情でした.
 実際のところ,支払いに時間がかかることを自覚しているのなら,早く降りたい人を先に行かせるべきでした.支払いの前に,両替が必要であれば,右側に移動し,左から人を通すべきでした(しかしながら,運転士さんが機械に,支払額を設定したことにより,できなかったわけです).両替で出てきた貨幣から,150円を支払うとなると,百円玉1枚と五十円玉1枚ずつを投入することで,ほんの少し,時間を短くすることもできます.
 先述の男性はそれらができなかったわけですが,障害と言うよりは,このバスに不慣れだったからなのでした.勤務するようになれば,定期券を使用し,両替は不要となりますし,急いで降りたい人がいるかどうかを見る余裕も,できてくるでしょう.この時期なので,試用としての勤務か,もしくはたまたまその日に,雇用前に会社へ行くことになったのかもしれません.
 誰が悪いという話ではありません.思わぬところで時間を要したことよりも,適切な手続きで乗降できたことを,強調すべきでしょう.後ろの客と運転士と,手間取った本人とで,どのような感情を抱いたかはさておき,それぞれ見届けたという,バスでの1分ほどの出来事でした.