某年月日,ただいまを言って,食べる部屋に入ると,テーブルの上に宅配物がありました.
実家の母からです.貼り付けられた伝票を見ると,送り主と宛先が,普段と少し違っていました.すえの子からハサミをもらい,開けてみると,「ぬか床」が5袋でした.以下は製品イメージです.
夕食をとりながら,釈然としないものを感じていました.漬ける対象は,畑から,ナスでもキュウリでも,持ってくればいいのですが,「入れ物」がないのが,気になりました.
食後に自分の部屋でくつろいでいると,さきの子が来ました.またも実家からの宅配物です.「ようがし,やって」だけを言い,さきの子は部屋を出て行きました.貼り付けられた伝票を見ると,依頼主は実家の母,届け先は自分と妻,そして品名は「御菓子」でした.
梱包を手で引きちぎって,開けてみると,透明のタッパーの中に,4人分のお菓子が入っていました.
これで謎は解けたのですが,念のため実家に電話をかけ,2回目につながりました.お菓子は子どもらに食べてもらい,このタッパーを,ぬか漬けの入れ物に使用して,美味しい漬物を作れということでした.
実家の母としては,子らにしてほしいとのこと.4人もいれば,誰か関心をもってやってくれる子はおるんとちゃうかなあと,他人事のような返答をして,電話を切りました.
そういえばこの日の夕食の食卓には,キュウリの漬物に似たものが,前述のものとは異なるタッパーに入っていました.容器を近づけて箸でひとつまみし,食べると,ゴーヤの佃煮でした.妻の母の渾身の作だそうで.