「ただいまぁ」
「パパ,おかえり!」
「晩ごはん,できてるよ!」
「んん,2階に上がらんと,すぐ,食卓に行ったらええんやな…ああ思い出した」
「あれ,パパ,リュックから何か出すの?」
「そやねん.前にな,すえの子が,母の日に何か贈り物するんかって,言うてたやんか」
「うん」
「(隣室から来て)え! 何かくれるの!?」
「ああママただいま.それがやな,ママが使いたいっちゅうたら,素直に渡せるんやが」
「てことは食べ物じゃあない,と」
「あとの子よ,鋭いなあ」
「何? 何?」
「んではリュックサックから出すとして…ほい! クリアファイル」
「え!?」
「帰りにローソンに立ち寄ったらな,SPY×FAMILYのキャンペーンやっててやな」
「絵柄が選べたんで,母の日にちなんだのにしたんやが」
「…」
「あっそうそう,このクリアファイルをもらうには,ガーナチョコレート3つ買う必要があってやな,ほいこれ」
「わっ!」
「食べていい?」
「それは晩ごはんのあとな.んでママ,そのアーニャとヨルさんのクリアファイル,使う?」
「うん,使うよ!」
「よっしゃ.では,母の日の贈り物はめでたしめでたし,と」
「これも~」
「ん?」
「この,ガーナリップルっての,ちょうど食べやすいんよ.仕事するときに,食べるね」
「え~,あたしもほしかったのにぃ」
「めでたくなしめでたくなし,と」