「さきの子よ,しっかり晩ごはん食べたか?」
「うん,食べたよ」
「それやったらええんやが.何かさっさと2階に上がって来たからな」
「観たいの,あったし」
「ってYouTube動画かいな」
「観てる途中に,ママが降りてきなさいって言ったから」
「まあ,そやったな.お前が食べて上がってすぐな,パパとママと,あとの子の3人で,ちょっとおもろいことになってたんや」
「どしたん?」
「今日は,ご飯,炊いたんやなくて,折り詰めのお寿司やったたんか」
「うん」
「ママのお皿に,伊達巻きあったん,覚えてるか?」
ここで話を止めます.wikipedia:伊達巻で,「伊達巻寿司」と書かれたものを,本記事では「伊達巻き」と読んでいます.伊達巻(6切れ) | 寿司・割烹 甚八が商品イメージになります.ママ=妻の皿にあったのは,この1切れです.
それでは続きをどうぞ.
「あったなあ」
「んでやな.ママ,おなかいっぱいになったから言うて,パパにあげるって言い出してやな」
「パパ,食べたん?」
「それがやな.ほなもらおかと思たら,テーブルの反対っかわの,あとの子が,ほしいって言うんや」
「じゃあ,あとの子に?」
「そこでママが『分けちゃる』言うてやなあ.パパとあとの子,見守ったんやが…」
「…」
「何を思ったんか,ママな,伊達巻き1切れの,外の玉子の部分を,はがし始めたんよ」
「え! え! どういうこと?」
「その間,15秒くらいかなあ.パパは左手は味噌汁椀,右手は箸を持って,じっと見るしかなかったんやが…」
「…」
「玉子の部分が,寿司のご飯から外れてやな,それをそのまま,『はい,あとの子ちゃん』って」
「え! あとの子,玉子のとこだけ,ほしかったん!?」
「いやそんなん言うてなかったで.それ見て,パパも緊張の糸がほどけて,『いやママそんなんせんでも単純にスパッと2分割したらよかったやん』って言うたら,ママ怒りだしてねえ…」
「そんなんで怒るんや」
「ママなりに,思うところがあったんかなあ」
「それで,あとの子は玉子のほう,パパはご飯のほう,食べたん?」
「結局,そないなったな.味は,折り詰めのお寿司やな」