「さきの子に,あとの子よ,早よ入りなぁ」
「はーい」
「パパ,いつもありがとぉ」
「いつもではないけどな.座ったな,ドア閉めたな.ほな家に向かって出発するよ」
「おっけー」
「うちもー」
「塾,どや?」
「がんばったー」
「うちもー」
「そっか」
「なあパパ聞いてや,この服な,センスええやんって,褒められてん!」
「へえ,塾の先生にか?」
「そうやで!」
「(勉強で褒められてほしいが…)運転してるんで,服装,見ることでけへんのやが,どんなんなん?」
「このコートが一番ええねん」
「へえ…」
「実はこのコートな,すえの子ちゃんのお気に入りやねん」
「…へえ」
「あの子から,着てってええって,許可もろたん?」
「もらうわけないやんかそんなん」
「妹から姉ってか.『お下がり』の反対みたいやな」
「お下がり? 何それ」
wikipedia:お下がりのうち,「3. 年長者が使用した物を、年少者が使用する場合のその物及び、物の移動行為。」です.小学生・中学生のころ,自分はよく兄(子らにすると伯父さん)のお下がりをもらっていたことを,話しました.
「それはそれとして,さきの子よ,着てるそのコート,サイズ,大丈夫なん?」
「それやねんけど,うちで,ちょうどやねん.袖とか.あの子,ちゃんと着れてるんかなあ?」
「ま,袖が長い分には,折り曲げたらええやろ」
「そやな」
「きれいなまま,返しや」
「今のところは,汚してないかな」