車内で.
「パパのパパに,会ってみたいなあ」
「さきの子やな.って,無茶言いおるなあ」
「パパのパパって,どんな人やったん?」
「こわかった?」
「んん…こわいというか,厳しい人やったな」
「そうなん?」
「ま,建方とか運搬とかしてたから,生半可な気持ちではあかんかったっちゅうのもあるが」
「パパのパパの仕事?」
「せやな.若いときは,8トンのダンプカーを運転してたらしいが,何やかやあって,パパが小さいころからはずっと,4トンのトラックを運転して,プレハブっちゅう建物を,解体してトラックに積んで,運んでたなあ」
「へえ」
「あっちのおばあちゃんのおうちに行ったときにな,仏さんに拝んだあと,上に写真,飾ってたの,覚えてるか?」
「覚えてる!」
「ま,あれは,お葬式用に作った,合成写真やねんけどな」
「そんなんあるんや」
「仕事とか,家族の中では,こわかったけど,ネコを見かけたときは,やな…」
「にゃあって鳴くの?」
「ちゃうねん.いやもおこれは,さきの子,あとの子,お前らの想像をはるかに超えるんとちゃうかな」
「ネコ? パパのパパ? …」
「どんなネコでもな,『にゃん吉』って言うててん」
「にゃんきち!」
「にゃんきち!!」
「ほんまにな,ネコの種類に関係なく,オスでもメスでも,野良猫でも飼い猫でも,『にゃん吉』って呼んでたんやで」
「にゃんきち...にゃん!」
「にゃんにゃん,にゃんきち!!」
「にゃん! きち!!」
「にゃん! きち!!」
「運転手を笑かすのも,そこまでにしとこか」