「降りてきたよ~」
「えっと,さきの子が手招きしてら」
「なになに,パパとさきの子とあとの子は,こっちのテーブルで…」
「ママは,うえの子と話をするから,あっちで食うってか」
「ま,ママらの部屋がメインで,われわれが控えの間なんやが…」
「ともあれ,晩ごはんのメインは,えっと,豚しゃぶ…か?」
「そ!」
「んで,下にはレタス,上には…へえ,大根おろしか!」
「うちがすったんやから!」
「へいへい.では心していただこか.3人分あって…そのプラスチックのボウルは?」
「大根おろし!」
「ん…多めにすって,3皿と,まあ家族全員の豚しゃぶに,大根おろしを乗せたんやろけれど,まだそんなに余ってんかいな」
「そうやねんけど…うち食べるで!」
「ま,ええんとちゃうかな.大根おろし大好き~って人,なかなか見かけんし」
「うち好きやで」
「そっか.んで,お前の皿だけ,大根おろし盛々やな」
「ええねん」
「否定はせんが…あ,階段を降りる音や,あとの子やな」
「晩ごはん,こっち!?」
「おう,そうやねんて」
「あんたのこれな」
「…」
「何か不満か?」
「大根おろし…」
「豚肉,大きければええやん,と言うわけにもいかんようやな」
「あたしもいっぱい,大根おろし,ほしい~!!」
「さきの子よ,あげちゃげるか?」
「いや!」
「ほな…あとの子よ,大根おろしてくるか? あ,けど,台所立ち入り禁止になってるんかな」
「うちすったんで大根,なくなったで!」
「ありゃ…かくなる上は…(小声で,あとの子に聞こえるように)さきの子のお皿に乗った大量の大根おろしな,お前,箸でつまんで,自分とこに持ってったらどうや」
「んでさっそく,あとの子は箸を動かして…」
「あとの子は肘でガードってか.2人とも無言で,絵になること,してくれるな.スマホで録画したかったわ」
「…」
「こんどは,さきの子が,考え事か」
「ポン酢,ほしい!」
「せやな.あとの子よ,取りに行ってくれるか?」
「いや!!」
「ほならさきの子か.お,立ち上がって…自分の皿を持って…どんだけ用心深いねん」