わさっきhb

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生成AIで生成したものを答案に貼り付けるのを禁止します

 月曜日の午前中のことです.
 午後の演習科目初回を前に,スライドを手直ししました.
 VirtualBoxをインストールしてから,こちらで用意した仮想アプライアンスをインポートすることで,この科目で利用するDebian 13のゲストOSが起動できます.端末でのコマンド実行や,ブラウザ(Firefox)による通信も可能です.Apache HTTP Serverをビルドするためのソフトウェアもインストール済みです.
 …といった,ゲストOSを使用するためにすべきことのスライドは,各ファイルのバージョン,そして起動後のスクリーンショットを差し替えるだけですので,大した手間ではありません.
 今回,手直しに時間を要したのは,生成AIを利用した答案の扱いです.「成績評価の方法」のスライドの前半は,昨年度までの記載から変更せず,後半に以下のとおり,箇条書きを追加しました.

  • いわゆるAIツールの生成内容を含む答案についても,その内容に応じて減点する
    • Webサービスか否か,有償無償を問わない
    • 説明文やプログラムコードを重点的にチェックする
    • 「AIツール使用禁止」ではない.自分の答案がどのように読まれるかを意識して推敲し,提出すること.

 これには背景となるものが2つあります.ひとつは,先月参加した学内の会議です.ChatGPTに代表されるAIツールを,大学の中でどのように活用すべきか,または活用すべきではないかについて,意見交換を行いました.自分は,学部1年の科目では課題での使用の禁止を担当授業で明示し,2年前期の(自分は担当していない)あるプログラミング科目では,単に課題(ソースコード)を提出するだけでなく面接を通じて,各学生には書いたコードに責任を持ってもらうような指導をしている旨,報告しました.
 とはいえ自担当のプログラミング科目で,面接をする時間的余裕はありません.そこで「生成したのを貼り付けるのは禁止」「使うのは妨げない」ことにし,上記のように詳細化しました.なおこの箇条書きの作成に当たってAIツールは使用していません.
 もう一つは,初回課題のCの復習です.VirtualBoxだのDebianだのは,こちらで用意した指示に従い「作業」すれば,誰でもできる/使えるようになっており,これを「課題」とし成績評価にするのは困難です.これと別に,課題として,Cのソースファイルを提供し,ゲストOS上でコンパイル・実行したり,中身をしっかり読んで説明したりすることで,その内容の理解と,Cプログラミングの復習をしてもらうことにしました.
 …というのは例年,実施しているのですが,プログラムの数をこれまでの1個から4個に増やし,説明を書いて提出してもらいました.期限が来たら回収して採点します.さらに,研究室の学生の修士研究・卒業研究として昨年度より開発してきた,Webサービスと,連携させることにしました.このサービスでは,左側にソースコード,右側に説明文入力のテキストエリアなどを配置し,説明文を提出したら,AIツールへの問い合わせを行い,採点結果や改善のアドバイスを,テキストエリアのすぐ下に表示させます.
 このWebサービスによる答案(説明文)の提出は,研究室のサーバに(1件1件)蓄積されるのに対し,課題の提出先は大学のMoodleになります(学生は期限まで差し替え可能ですが,最後に提出した答案のみが保存されます).学生向けに表示する「改善のアドバイス」は,プログラムの説明に直接使えないことを,事前にさまざまな解答を提出して,十分に確認しました.
 当ブログの明日の記事は,実際の授業の様子をお知らせする予定ですが,本日の記事よりも字数は少なくなります.準備に時間をかけた分,強く印象に残っているというわけです.