わさっきhb

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dealing out

わり算のアクセスログを基点に,あちこちページを見ていくと,掛け算の順番の話題がアツい : アンダンテのだんだんと中受日記を知りました.つい最近書かれたということもあり,t.mの名前でコメントしました.
コメントを書きながら,思い出したのは,「トランプ配り」の英語版のことです.Greerの解説に入っているのは,知っていますが,その図を,当ブログで取り上げた記憶も記録もなさそうです.はてなFotolifeにも,ちょっと見当たりません.
デジカメで撮りました.図はこんなのです(p.281).

矢印が対称になっていません*1が,よく見ると,順番に,配っていることが確認できます.
ただし,図そのものは,Greerのオリジナルではなさそうです.文献を引用しながら,その特徴を記しています.

Figure 13.1a represents partitive division of 12 objects by dealing out, as in card games (Anghileri & Johnson, 1988, p. 147).
(p.279)

Three general points may be made about such representations. (略) Second, a diagram cannot adequately convey the essentially dynamic nature of a process such as "dealing out" (Figure 13.1a) (略). Dynamic computer versions of these representations would be much more powerful than any static representation.
(同)

文献情報は,次のとおりです.ちょっと買う気なしです.

  • Anghileri, J. & Johnson, D. C. (1988). Arithmetic operations on whole numbers: Multiplication and Division. In T. R. Post (Ed.), Teaching mathematics in grades K-8 (pp. 146-189). Boston, MA: Allyn and Bacon.

それと,トランプ配りを含む図(Figure 13-1)のキャプションが"External representations of multiplicative situations"となっているのも,少し気になります.「Greerの示すトランプ配りも,かけ算(multiplicative situations)に適用できるってことなのでは?」という疑問を持つこともできます.
とはいえ,上に引用したとおり"Figure 13.1a represents partitive division"として,等分除を表した図だとしています.また文章としては,「かけ算」と「わり算」を織り交ぜて(「かけ算」の節,「わり算」の節,と分けずに)書かれているほか,"divisional situations"を集めた図というのも見当たりません.これらのことから,multiplicative situationsという表現に,かけ算もわり算も広く含めているように思われます.

*1:この種の矢印の配置は,結城浩さんの本にあったなあ…と『新版暗号技術入門 秘密の国のアリス』を読み直しました.「Fig.3-12 Rijndael復号化の1ラウンド」(p.72)です.しかし,真下の矢印を無視すれば,左右対称になっていました.