今年1月に,全国学力テストが悉皆調査から抽出調査に変わる件が,国会で質疑・答弁されていたのでしたか.
質問者は馳浩氏.http://www.incl.ne.jp/hase/schedule/s100513.htmlは,今をときめくエントリではないかと(もう沈静化した?).
質問主意書の質問本文ですが,野党・自民党として聞くことはこれが必要にして十分なんだろなと思います.日付上は,平成22年度全国学力・学習状況調査の実施について(通知):文部科学省が昨年末に出ていて,調査の目的が縮小化・曖昧化されていますが,質問主意書起案の際にそれが参照できたのか分かりませんし,また,質問本文の最初の項目に別段影響するものではありません.
また,事業仕分けでクローズアップされた「経年変化」について,2010年実施からそれが調査できるのかを直接問う質問はありませんでしたが,質問本文の三の後半が,間接的に作用しているのでしょう.
質問書・答弁書のどちらが優れているかを判定することは,難しいなあと思います.それぞれ,記述に現れない情報があることでしょうから.
それでも,質問書の弱点を指摘せずにはいられません.テスト解答者(児童生徒)にとって,悉皆と抽出のどちらがふさわしいかを考えるには,解答に対する正誤がいつどのように返却されるかの検討も,不可欠です.昨年度までの返却の仕方で「学習状況や発達状況などを確認することができ、よりきめ細かい教育を行うことが可能」だったのか,です.
このことについて,すでに赤旗が警鐘を鳴らしています.
全国学力テストの対象は国語と算数・数学だけで、しかも「特定の一部分」にすぎないことは文部科学省も認めています。ところが学力テストの平均点を上げることが「学力向上」だと短絡的に受けとめられ、それが教育の目的のすべてであるかのような風潮を生んでいるのです。
全国いっせい学力テストになぜ反対?
…
文科省はいっせいテストの理由を「学習指導の改善に役立てるため」と説明していました。しかし結果が返ってくるのは数カ月後で、しかも問題ごとにできたかできなかったかの「○×」が分かるだけです。到底、具体的な改善などできません。
赤旗は赤旗の立場がありますし,小さなところを言えば,『実際に教えている教師が問題をつく』る環境が全国どの学校どの教室でもできている/政策によりできるようになるかというと,不安がありますし,大事なテストがあるのなら,事前テストなどを用いた事前勉強を学校で(度を外さない限りという条件を付けた上で)実施して差し支えないと,私は考えています.
とはいうものの,基本的な考え方としては,私は上記の赤旗記事に賛同であり,昨年までの悉皆にせよ,今年の抽出にせよ,教育現場や解答者本人・保護者の方は,十分な益を得ていないなあと感じています.