「よおっしゃ,もう泣いてるどころやないな」
「…ぱぱぁ」
「ママもな,体,治さなあかんねん.一緒に行くっちゅうわけにいかんねん.分かっちゃってな.んでパパが,4人の番をせなあかんのやが…」
「…」
「Androidのタブレットで,何かしよかいな.お前も,見るか?」
「みる!」
「よっしゃ.あのな…前に,絵PHONE箱ってので,しらゆきひめを見しちゃったん,覚えてるか?」
「…」
「7月の旅行のときなんやが.あれでな,新しい話を用意したから,それ見よ.シンデレラや」
「わかった」
「すえの子はお休みしててよろし.さきの子とあとの子は,ベビービッドでぎゃあぎゃあ言うとるが…」
「…」
「お眠りの前兆やな.そのうち寝るやろ.さてお話のはじまりはじまり…」
途中に
「ぱぱ,おきさきってなに?」
「んん? おきさきってのはな,王子様の妻やな.分かりにくいか,えっと,この王子様と結婚する人のこと」
「ふん」
「(ふう,分かってくれたっぽいな…)次のシーンに行くで」
「(ちょっと待て,この子,自分は何が分かっていないかを,的確に分かっとるやないか…)」
また途中に
「え…あ〜はいはい分かりました.うえの子よ,すまんが,畑仕事してはるおばあちゃんのために,冷コーを作っちゃらなあかんので,ちょっとの間,一人で読んどいてくれるか.右下ンとこ押したら,先に進むからな(渡す)」
「…」
そうこうして,アイスコーヒーと氷をコップに入れて,渡して,部屋に戻り…
「お,次のシーンに行っとるな」
めでたしめでたしになるまでに,さきの子・あとの子が横になり,眠ってくれました.