「リュックの中を…あっ」
「パパ,どしたん?」
「食べもん,入ってたんやな」
「くれる!?」
「(取り出す)コンビニで買った,パンケーキ,2個入りなんやが」
「ほしい!」
「そう言うよなぁ.これから,ママに買い物に行ってほしいって言われてて,このパン,入れたまま,出かけるわけにいかんから,子どもらに,やりたいところなんやけど…」
「…」
「今な,この部屋に,さきの子と,あとの子と,すえの子が,おるやんか」
「おるよ」
「つまり,独り占めしたらあかんっちゅうことな」
「わかる~」
「さきの子よ,うまいこと分けてくれるか?」
「わかった!」
「ほな渡すで.袋を開けて,取り出してくれるか」
「えっと…」
「2個入りなあ,わかるよな.3人に,どやって分ける?」
「こうする!」
「1個分を開いて,2枚にしたんか」
「そうやで!」
「手ぇ汚さんようにな.んでそんなふうに2枚にして,そこからどうする?」
「そうやな…パパ!(1枚を差し出す)」
「パパが受け取るんかいな.…」
「なんと,2個をそれぞれ開いて4枚にして,パパ・さきの子・あとの子・すえの子で1枚ずつってか!」
「そういうこと!」
「それやったら,まあ,ケンカせんでええな.くれた分,遠慮なく,いただくで…」
「こっちのな,すえの子ちゃんに!」
「んでもう1個のほうを,さきの子とあとの子で,1枚ずつってか」
「そうすんねん…はい,あとの子」
「これって中のメープルシロップ,さきの子のほうが多いんとちゃうの?」
「うん.うち,食べたいから」
「それやったらあたしも~」
「結局もめるんかいな」
ともあれ,「割る」のではなく,メールシロップ(またはマーガリン)でくっついている2枚1個分を「開いて分ける」のは,素晴らしい方法でした.
しかしこれを,さきの子の機転を利かせた行動として,ママに言うことはできません.ほめるよりも,「あたしも欲しかった!」という反応が返ってくるはずなので.