大阪の堺で生まれ育ち,結婚を機に和歌山で住むようになって4年ばかりになります.
よく耳にし,自分でも自然と口をつくようになった表現を取り上げてみます.なお,そういった表現は“……”でくくっています.
初級
- “できやん”: 標準語で言う「できない」のことです.“〜やん”が否定の意味で,“買えやん”,“食べれやん”といった使い方もあります.
- “こっちしかいい”: 「こっちのほうがいい」と翻訳してください.肯定文の中で“しか”が出現します.「そこでしかって,どうも慣れんなあ」「何言ってるの,しかしかええやん」というのは,結婚前の連れ合いと私との会話でした.
- “なながつ”: 七月の読み方です.同様に7時は“ななじ”です.1から10まで数え上げるときも,途中は“なな”です.まあ,10から1まで減らして読むときは,和歌山でなくても「なな」になるのですが.
- “ら”: 文末につきます.“いこら”(「行きましょう」)と“しちゃら”(「私がします(してあげます)」)が代表的です.「よ」や「ね」のような意味合いです.ただし,この“ら”に“よ”がついて,“いこらよぉ”と言ったり聞いたりもします.
中級
「来ない」のことを,
- 京都は,きいひん
- 大阪は,けえへん
- 神戸は,こおへん
と言うそうですが,和歌山では何と言うでしょうか?
とりあえず私の周囲では,“こん”です.「こんなあ」「こんのお」みたいな会話もあります.
ただ,あるネイティブによると,“こやん”という言い方もあるそうです.
上級(でもないか)
和歌山市内に二つの重要な駅があります.「和歌山市」と「和歌山」です.
前者は“市駅”と呼ばれます.南海本線の駅です*1.
後者ですが,“和駅”という言い方も出回っていますが,むしろ“JR”のほうが優勢に思えます.もちろん,和歌山市駅か和歌山駅のどちらなのかという話題の中でです.
路線のことで,「JR」ということは滅多にありません.和歌山駅から北方向は「阪和線」,南方向は「紀勢線」と言います.和歌山〜橋本〜王寺を結ぶ路線は,サンプルは多くありませんが「和歌山線」でいいと思います.なお,和歌山〜紀和〜和歌山市の路線が話題にのぼることはありません.和歌山市で生まれ育った人の大部分は,その電車に乗りませんので.