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「優」をあげたくなる発想法

「優」をあげたくなる答案・レポートの作成術 (講談社文庫)

「優」をあげたくなる答案・レポートの作成術 (講談社文庫)

気軽に読めました.大学生にもお勧めです.ただ,「優」を取るためのハウツー本としてではなく,大学の先生はどんなことを考えて授業を持ち成績を評価しているのか,すなわち内情を知っておくという目的のほうがいいでしょう.新入生の人は,大学のレポートや試験はどんなものなのかを見るいい機会だと思います.
まずどこを読むか?
それはもう,pp.120-121でしょう.「不可」の答案例と,その解説…「やってはいけないこと」の実例です.その後,「可」「良」「優」の順に答案例が並べられているので,それぞれの違いを実感してから,頭に戻って読み進めるといいでしょう.
さて,『誰でもわかるくらい,わかりやすいように本書を書いた.これ以上簡単な日本語はないであろうと自負している』(p.14)については,ちょっと首肯*1できません.問題や答案の実例は,読んで「自分もこんなのを書かなあかんのかな」と思うと,気が重くなるのではと思います.まあこの本はあくまできっかけとして,いろんな問題に当たって答案を書いて,評価されていって技能を磨くのがいいのですが.
pp.85-86で「ゼロサム」の概念の説明が興味深かったのですが,その説明の最後に『このように自分が勝った分だけ相手が損するような状況を,「ゼロサム」とよび,そのようなゲームをゼロサム・ゲームという』とあって,ここにも違和感を持ちました.
大学生が想像する「ゲーム」と,そこで出てくる「ゲーム」にギャップがあるのですが,ゲーム理論を耳にしたことがない限り,誤解してしまうような.
直後の段落の『わからない語彙や概念は,辞書,事典,教科書,参考書,ネット(Google検索など)で調べて,理解することが大切である』も,たしかにそのとおりなのですが,ここに,語句の多義性*2や,専門用語(テクニカルターム)の存在について補足しないと,誤解したまま答案になってしまいそうです.

*1:「肯首する」という日本語 - 「肯首する」という日本語を本を読んでいて見... - Yahoo!知恵袋.へえ.

*2:自分の教えている範囲なら,「ハッシュ」とか,「ヒープ」とか.