わさっきhb

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LとR

本日の授業もちょうど半分が経過しましたが,これからの後半は,SSH,セキュアシェルについて説明します.これを使えば,リモートログインが安全にできます.具体的には,ログイン名やパスワードの情報,またシェル上で実行するコマンドやその結果を,暗号化してやりとりすることになります.
さてこのSSHをきちんと理解するためには,SSHのサーバと,SSHのクライアントを,明確に区別する必要があります.それぞれで,適切な鍵ペア,すなわち公開鍵と秘密鍵のペアを持つことになります.~/.ssh(ホームの下のドットエスエスエイチ)に置くファイルがいくつもあるのですが,本やWebの情報を,単純に読むだけだと,どれがサーバ側でどれがクライアント側なのか,混乱してしまいます.
そこでこの授業では,2種類の色分けを使います.まあ地の文は黒にしていますので,3種類というほうがいいかもしれませんが.
このスライドに,左の計算機から右側のにリモートログインしている図がありますが…左側と右側の文字を見てください.そうそう,SSHはクライアント/サーバモデルで運用しますので,「クライアント」「サーバ」と呼ぶのもまあ間違いではないのですが,伝統的に「ローカルホスト」「リモートホスト」と言います.ローカルホストは,ローカルですから,いわば今,自分がいるところですね.一方リモートホストのリモートは「遠くの」とか「遠隔の」とかいった意味で,ログイン先の計算機になります.
そこで,ローカルホストに関する情報を,緑っぽい色で表します.これは緑じゃなくて,ライム色です.ライムの綴りはlimeです.スライドの図も,左側,leftに配置しています.
リモートホストはというと,真っ赤な文字ですね.赤はredです.嘉門達夫は,真っ赤っかをレッドッドと英訳しましたが.それはさておき,右側ということでrightです.
他にも,エルとアールで書き分けることができます.ローカルホストはlocal hostで,エルですね.ライムのエルです.リモートホストはremote hostですから,アールから始まって,エルを含んでいません.
クライアントとサーバに分けると,クライアントのスペリングはclient.あ,エルだ.サーバはというとserver.アールですね.
ということで,これからあとのスライドでは,ライム色のところはエルですから,ローカルホスト,あるいはクライアントと,結びつけてください.レッドについてはアールということで,リモートホスト,すなわちサーバに関することです.
SSHから離れまして,LとRというと…音楽ですかね.音楽プレーヤをイヤホンで聴くとき,耳に挿すのに,左用・右用があったりするかもしれません.そういうときは,イヤホンをよく見ると,書いてありますね,「L」と「R」が.
耳よりも,もっと中に焦点を当てましょう.頭です.頭脳です.左脳とか右脳とかいいますね.左が言語を,右がイメージを扱う,というのもよく聞く言説です.
リファクタリング・ウェットウェア』*1という本があります.ここでは,「Lモード」「Rモード」という考え方が紹介されています.ただしその本文では,エルとアールの字体が違っています.エルはカクカクした字体です.一方アールは,花文字といいますか,装飾したような字体になっています.
LモードのLはlinearの頭文字です.線形です.線形リストのように,情報を一つひとつ結びつけて,それでもって1個の思考の流れを作るという,思考形態です.情報の関連づけができてしまえば,確固たるものとなりますが,それまでに時間を要します.
Rモードは,何だと思いますか? ….rich modeです.richってのは「金持ちの」という意味で覚えたと思いますが,コンピュータの用語ではよく「豊かな」という意味で使われます.Rich Text Formatとか,Rich Internet Applicationsとかですね.それはそれとして,RモードのR,richというのは,線形じゃないのです.考えが,ぱっと出てきて,ぱっとつながる.というものです.『リファクタリング・ウェットウェア』の本の装飾書体のRにも,そういう意図が込められているのでしょう.Lモードと比べれば,気まぐれです.
Lモードは論理を扱います.そういえばlogicもエルから始まります.あと,言語です.英語だとlanguageですね.Rモードは「像」です.画像とか映像とかの,像.英語では,pictureです.こじつけですが,途中にrが入っています.graphicsも,photographも,rを含んでいてlを含んでいません.
あと,その本では,Lモードはleft brain,Rモードはright brainではないよという注意書きがある*2のですが,しかし,連想するのはやはりleftとrightでしょう.実際,その本のあるページで2種類を分けている図も,Lモードのシンボルは左に,Rモードのは右に書いています*3
そのようにLモードとRモードの違いを説明しつつも,個々の人間は,みな,そのどちらのモードも持って,無意識のうちに思考し,それを文字にし,発言をして,他の人に伝えているのです.本では,両者のメリットデメリットを明らかにし,それらのモードを意識して,物事を考えるのに役立てようと,提案しています.さらに加えて,それらを融合させて,問題解決にあたりましょうと説いています.
妙に脱線しました,LモードとRモードのまとめとして,この単語を書いておきましょう…
illustration.
エルもアールも両方含んだ単語です.イラストレーションは,挿絵とか図解とかいった意味ですので,一見,Rモードに属するのではと思うかもしれませんが,「イラスト」を描く際には,ぱっと思ったことを絵にするのではダメで,さまざまなアイデアやラフスケッチから,最善の表現を一つ決め,そして図にして細部を整え,仕上げていくことになります.ここに,LモードとRモードの融合がなされるのだと,理解したいものです.
SSHに戻りますと,役割としてはLとRに分かれますが,これらが連携して動くことで,セキュアなシェルとして機能します*4.サーバだけ動くのでは意味がないし,クライアントからの接続がないサーバは閑古鳥ってやつです.セキュリティも,サーバはサーバのセキュリティ,クライアントはクライアントのセキュリティが欠かせません.あ,リモートホストとローカルホストでしたね.
ではこれから具体的に,SSHのことを学んでいきましょう.…

*1:isbn:9784873114033

*2:p.48

*3:p.36, p.47

*4:SSHそのものはシェルではない? 確かにそうですが,リモートログイン後,1つのキー入力で,コマンドプロンプトに1文字分表示されたり,その他様々なコマンドライン編集がしたりするのは,SSHがローカルホストと,リモートホストのシェルを取り持ってくれているからです.