ゴールデンウィークのある1日,パパは,草引きをしていました.
「パパ〜」
「お,よう来たな.何や」
「おトコ,たべた」
「…おとこ!?」
「おトコ,たべた」
「ああ,おチョコな」
「おチョコ,こんなん」
「大きさを親指と人差し指でしめしてくれるんはええが,ずいぶんと小さいな.それ,ほんまにおチョコか? 道端のもん,食てないか」
「…」
「おいしかった?」
「おいしかった」
「あまかった?」
「あまかった」
「すっぱかった?」
「すっぱかってない」
「ああ,そこは『すっぱくなかった』って言えればええんやが…しかしどうやら,ほんまにおチョコを食べたっぽいなあ」
「おいしかった」
「そっか.じゃあ,ねむたかった?」
「…」
「こんどパパにもちょうだいな」
「ない!」
「…なんでや」
「パパの,ない!」
「そんなん言わんといてえや.パパ,泣くぞ.うわ〜〜〜〜ん,うそなき,うわ〜〜〜〜,と泣いてたら家に戻ってったか」