ブラウザでいろいろ見ていると,算数の体積を解説しているページに「1kg = 1000㎤ = 1L」と書かれていました.
「1000㎤ = 1L」のほうはいいのですが*1,「1kg = 1000㎤」は要注意です.液体(通常考えるのは水ですが)の1㎤の重さが1gのときに限り,成り立つ等式です.
これと似たような,条件を書き忘れやすいものと言えば…
公開鍵暗号でしょうか.「暗号化して,復号すると,もとの平文が得られる」というのは,暗号系の基本であり,対称暗号(共通鍵暗号)でも公開鍵暗号でも,そのように言って差し支えありません.しかし「復号して,暗号化すると,もとの平文が得られる」のが成り立つのは,RSAなどに限られます*2.「復号して,暗号化すると,もとの平文が得られることを,デジタル署名に使用する」というのは,RSAに限定した話であり,公開鍵暗号すべてに対して言えるものではありません.
算数に戻ると,等分除になっていない,分ける問題というのもあります.「12個のお菓子を4個ずつ配ると,何人に配れますか?」という出題*3の答えは「3人」ですが,「12個のお菓子を3人で分けると,1人は何個もらえますか?」と問うと,12÷3=4で「4個」のほかに,1人が12個であとの2人はゼロという分け方や,1人が10個で2人は1個ずつというのも,認められます.「12個のお菓子を3人で同じ数ずつ分けると,1人は何個もらえますか?」*4なら「4個」です.
*1:ところでこれは定義でしょうか,定理でしょうか.wikipedia:リットルやhttps://www.merriam-webster.com/dictionary/litreによると,1リットルは1立方デシメートルというのが定義です。立方デシメートルをdm3と表記することにして,1L=1dm3は(数式で表した)定義であり,1L=1000㎤は定理と見なせます.
*2:公開鍵暗号に限らず,ROT13のように,暗号化と復号が同じ操作になるものも,該当します.
*3:これは包含除です.問題文でもう一つ注意するのは,「何人に配れますか?」のところで,「最大で何人に配れますか」も同じです。かけ算でも,「4人乗りの車が3台あったら,何人乗れますか?」は,「最大で何人乗れますか?」を意味します.
*4:この問題で「僕は10個もらうよ」と言おうものなら,「同じ数ずつにならないよ」というツッコミが来ます.