わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

令和3年度全国学力テスト算数・数学のファーストインプレッション

 小学校算数および中学校数学の調査問題・正答例・解説資料をダウンロードして,ざっと見ました.
 算数の大問1(2)に,速さを使った問題があります.昨年度の教科書から,速さが5年での学習になったことが反映されています.ただし,「500mを7分間で歩く速さで歩き続けると,1000mを歩くのに何分間かかりますか。」の問題を解くにあたり,分速を求めることはせずに,「同じ速さで進むとき,道のりが倍になれば時間も倍になる」を使って,7×2=14で求められます(式は不要の問題です).同(3)は,単位量あたりの大きさの典型的な問題で,同(5)は,「道のり÷速さ=時間」の公式で式に表せます(答えは不要の問題です).
 大問2(1)は,長さの比が3:4:5の直角三角形の面積を求める問題です.面積を求めるのに使用する長さは,斜めに見える3cmと4cmの辺で,ななめななめの長方形の直角三角形バージョンとなっています。解説資料の解答類型には「乗数と被乗数を入れ替えた式なども許容する。」が書かれています.
 同(3)は,6.5cm,6.5cm,5cmの二等辺三角形が出てきます.5cmの辺を底辺とすると,高さは6cmです.この二等辺三角形を2等分してできる直角三角形について,辺の長さの比が5:12:13なります…がこの事実は問題を解くのには使用されません.視覚的に二等辺三角形の4つ分だなあと思いながら,解答類型を見ると,「平行四辺形ABCDの面積を,二等辺三角形の面積の四つ分として求めているもの」は,累計番号16から18で,いずれも不正解です.累計の表の次のページには「なお,【解答類型16】は,面積は記述できている。」ともあります.
 大問4(2)の「8人に,4Lのジュースを等しく分けます。1人分は何Lですか。」は,8÷4ではなく4÷8とする必要がある件です(8÷4ではなく4÷8~文献読み直し - かけ算の順序の昔話).
 数学に移りまして,大問1の最初の文(「ノート2冊と800円の筆箱1個を買ったときの代金と,ノート4冊と500円のシャープペンシル1本を買ったときの代金が等しくなります。」)は,なんだか普遍的な数量の関係を示しているように見えました.「ある店で,ノート2冊と800円の筆箱1個を買ったときの代金と,ノート4冊と500円のシャープペンシル1本を買ったときの代金が等しくなりました。」だったら,違和感が少なかったのですが.
 大問4(「影の長さ」は「経過した時間」の関数)は,順序を問う問題です.
 大問9(2)の「記号を使って表しなさい。」という問い方は新鮮に見えました.正答例では「FE // BC」とあります.「//」の記号は,問題文には出現しません.同(3)は,前小問の外角をもとに,∠ARG=105°,∠ASG=75°が言えますが,解説を見ると解答類型2の正答(◎)で,正答例は「∠ARG,∠ASGのそれぞれの大きさは変わらない。」(角度の算出は不要)でした.
 解説資料について,各問の解答類型の項目数が多く,また国際調査(TIMSS)の実施年・番号・問題の概要などが書かれた表にも驚きましたが,これらは昨年度の解説資料も同様でした.