いきなりですが問題です.
プログラムに「x = 1」と書かれているとき,これを日本語で何と言いますか? 以下の中から選んでください.
- xに1を代入する
- xに1を割り当てる
- xに1を束縛する
- xに1をセットする
- xに1を入れる
- xに1を入力する
- xを1で初期化する
- xを1にする
- xの値を1にする
さっそくですが解答です.学生向けに本日作成・公開した資料を改変したものです.
Pythonで「x = 1」と書いたとき,この文のことを説明するために,日本語として何と言うのが適切で,何と言うのは避けるべきかを,紹介したいと思います.
もっとも広く受け入れられているのは,「xに1を代入する」です.実際,代入を行う文(代入文)となっています.なお,他のプログラミング言語を学んで,「=は代入の演算子」と理解している人は,Pythonの文法上,「=」は演算子ではなく*1,「単純文」の一つ,「代入文」を構成する文字である*2ことを,知っておいてください.
「代入する」を英語で表すと,assignです(substituteという単語もありますが).この語は「割り当てる」と訳すことが多いので,「xに1を割り当てる」と表記することも,可能です.ただ,少し堅いイメージになります.「xに1を束縛する」と書くと,さらに堅くなります.
反対に,「xに1をセットする」や「xに1を入れる」とすると,くだけた言い回しになります.
「xに1を入力する」というのは,今回挙げる中で一番,おすすめしません.「x = 1」という文では,「入力」という行為をしないからです.これまでの授業でinput関数を学習しましたが,これが「入力」を行う関数(機能…英語で表すとどちらもfunction)となります.それともう1点,「入力する」の主語にも注意しましょう.プログラムを実行するとき,「入力する」のは基本的に,値を与える者,要は「人間」なのです.「x = 1」を実行するときに,人間は関わりません.
ここまでの表記は,「(変数名)に(値)を(動詞)」と共通化できます.
異なるタイプで,意味が通る表現を一つ,挙げておきます.「xを1で初期化する」です.ただしこれは,対象とするプログラムで,xがその文で最初に出現するときに限り,使うようにしましょう.「初期化する」を表す英単語はinitializeです.instantiateはまた別の意味になります.
「xを1にする」や「xの値を1にする」を認める人もいるかもしれません.話し言葉では使う(聞く)かもしれないけれど,答案をはじめとして,書き言葉では推奨しません.