「ごちそうさまを言う前に,えっと…」
「パパ,どしたん?」
「あとの子よ,一人で何,食とんねん」
「え? 納豆」
「納豆パックよな」
「そやけど」
「朝ごはんとちゃうんか,納豆は?」
「うーん,朝はパンにバターかな」
「てことは,朝はパン食やから,納豆はそのときやのぉて,晩ごはんの今,食うと」
「そ」
「とか言うてると,さきの子も立ち上がって…」
「冷蔵庫から何か取り出して…」
「引き出しから,包丁を取り出して…」
「いちいち言わんといてくれる!」
「おっと,怒らせた」
「怒るっちゅうより,恥ずかしい,かな」
「あ,自分の体と,包丁を,こっちに向けて,そんなん言われても困るぞ」
「包丁? ああごめんごめん」
「さきの子も,あとの子も,おばあちゃんやママが用意してくれた,晩ごはんでは,足らんっちゅうことか?」
「そうやね」
「んで冷蔵庫から,何か食材を取り出す,と」
「そんなところ」
「お,包丁を使こて何かするの,終わったようやな,あとの子は」
「あとの子ちゃうよ,さきの子やん」
「あーすまんすまん,2分の1の確率で間違えた」
「言い訳になってないし」
「で,さきの子は,食後の1品,何にしたんや?」
「豆腐ー」
「ああ,豆腐を,包丁で1口大にしたんか」
「めんつゆもかけたんやでー」
「うまそうやな」
「パパもいる?」
「いらんいらん,あんた食べや」