いきなりですが問題です.以下のそれぞれについて,簡単に説明してください.
- オープンサイエンス
- アワードイヤー
- デュアルサポート
元ネタは,以下の文書です.1年前に公開されたものですが,昨日,とあるところから「読んどきや」と連絡があり,アクセスしました.2枚目のページに,上記3つのカタカナ語が出現します.
これのリンク元は,文部科学省のhttp://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1362786.htmです.そこからのリンクで今月,http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/hojyo/1380667.htmが公開されており,新たな審査区分表や,パブリックコメントに対する回答が読めます.パブコメの中から,自分の関心を書き出しておくと,30と31に,教育工学に関する意見があり,いずれも回答は「原案のままとする」となっています.データサイエンスをはじめ,情報関連は97から101までに見られます.
といったところで冒頭の問題への解答です.オープンサイエンスは,「科学研究をより開かれた活動へと変革していく運動」であり,オープンサイエンス(Open Science)で整理されています.wikipedia:en:Open_scienceはありますが,対応する日本語版はありません.
研究におけるアウトリーチは,基本的には各研究者の「活動(activity)」なのに対し,オープンサイエンスは,アウトリーチを含む社会的な「運動(movement)」として,区別すべきなのかもしれません.
次にアワードイヤーですが,「会計年度や暦年ではなく,補助金支給開始時からの1年間」という説明書きを,大阪大学経営企画オフィス(URA部門)メールマガジン vol.12「科研費の季節ですね」特集(2014年9月発行)に見つけました.
研究から離れて,連想するのは,フリー切符です.国内ではたいてい「1日乗車券」で,言い換えると「その日限り」なのに対し,海外(といってもヨーロッパの数か国ですが)では「24-hour ticket」が主流だったと記憶します*1.夕方8時に使い始めれば,翌日の夕方8時まで有効となります.日本で1日乗車券を,午後8時から使い始めるのは,よっぽどの場合でしょう.
会計年度・暦年はこの「1日乗車券」に,アワードイヤーの概念は「24-hour ticket」に,それぞれ近いものと考えればいいのです.
研究におけるデュアルサポートとは「基盤的経費の確実な措置と,競争的資金との有効な組み合わせ」です.http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu4/toushin/attach/1337887.htmより読めます(「登録:平成21年以前」とのこと).措置やサポートをするのは,研究機関(大学など)と国(文部科学省)であり,助成を得ながら研究をするのが教員および研究者となります.
新たに見かけた言葉と,その背景にあるものには注意しつつ,学生の指導と自らの研究を今後も進めていきましょう….
研究にまつわる用語チェックは,2年前にも記事にしていました:「誠実な科学者」が知っておくべきこと,なすべきこと.「デュアルユース」は,上記の「デュアルサポート」とは異なる話です.
*1:ともあれ国内の状況を探ってみると,都営地下鉄は今年,「1-Day Ticket」から「24-hour Ticket」に変えたのですか! http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/newsevent/news/subway/2016/sub_p_201602045640_h.html