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「真実の口」はsinzitunokutiでもshinjitsunokuchiでもOK ― ローマ字は訓令式かヘボン式か,それとも(2017.03)

はてブする際,軽い気持ちでローマ字は訓令式かヘボン式か,それとものURLを書いていたら,アクセスが来て,はてブもいただいて,久しぶりにはてブニュースにも載りました.
ところで,小学校の教育と離れたところで,以前に見かけて今月も見る機会があった「ローマ字のつづり方」の話があります.今月のほうから先に言うと,以下のタイピング練習ゲームです.

来年度の情報処理教育について,打ち合わせをしているときに,ある先生から,1年前期の段階でタイピングできるようになってほしいと提案があり,「例えば…」とおっしゃった上で,デモをされたのが,このFlashアプリでした.
ローマ字入力です.最初の表示は,訓令式ベースのワープロ式です.例えば「身長」なら,sintyouと出ます.
この記事を書くにあたり何度かプレイして,1つの語に,訓令式ヘボン式かの選択が4回,出現するものを見つけました.タイトルに示したとおり「真実の口」です.スクリーンショットを交えて,見ていきます.
最初に表示されるのは,訓令式の「sinzitunokuti」です.

そこでヘボン式になる「sh」と打ってみると,瞬時に表示が変わりまして,「sh」までがタイプ済みとなります.ただし残りは「inzitunokuti」のままです.なお,以下の画面はキャプチャソフトの都合上,「shi」まで打ち込んでいる状態となっています.

ひらがなにすると「しんじつのくち」の3文字目,「じ」は,もともと「zi」でしたが,「z」に替えて「j」を打てば,ここでも表示が変わります.

4文字目の「つ」のところで,「tu」より字数は増えますが,「tsu」と打ち込んで,NGとはなりません.表示もきちんと変わっています.

最後は「ち」のローマ字です.デフォルトは「ti」です.

「c」を打てば,残りは「hi」に変わります.ということで,shinjitsunokuchiでもOKという次第です.

ちなみに,Flash画面の下部には,以下のように,「し」なら「si」でも「shi」でも「ci」でもOKと書かれているのでした.

このタイピングゲームでは,一部が訓令式・一部が非訓令式でもかまわないわけです.すべてが訓令式,すべてがヘボン式といった場合と合わせて,「真実の口」のローマ字表記で認められるのは,以下の24通りです.

cinjitsunokuchi
cinjitsunokuti
cinjitunokuchi
cinjitunokuti
cinzitsunokuchi
cinzitsunokuti
cinzitunokuchi
cinzitunokuti
shinjitsunokuchi
shinjitsunokuti
shinjitunokuchi
shinjitunokuti
shinzitsunokuchi
shinzitsunokuti
shinzitunokuchi
shinzitunokuti
sinjitsunokuchi
sinjitsunokuti
sinjitunokuchi
sinjitunokuti
sinzitsunokuchi
sinzitsunokuti
sinzitunokuchi
sinzitunokuti

生成のためのワンライナーは「ruby -e '%w(si shi ci).each{|s1|%w(zi ji).each{|s2|%w(tu tsu).each{|s3|%w(ti chi).each{|s4|puts "%sn%s%snoku%s"%[s1,s2,s3,s4]}}}}' | sort」です.
「し」を「ci」とつづるのを別にする*1と,完全ヘボン式かつ最長字数タイの「shinjitsunokuchi」と,完全訓令式かつ最短字数タイの「sinzitunokuti」が,アルファベット順で並べ替えたとき,それぞれ最初と最後に出現するのは,ちょっと面白いところです.

  • タイピングソフトの実行時に,動的につづり字を変更する機能について,どこくらいのソフトウェアがサポートしているのかは,とうてい,調査できませんが,「タイピング・オブ・ザ・デッド」にも,実装されていたのを,思い出します.上に書いた「以前に見かけて」とは,これのことです.検索してみると…正式名称は「ザ・」が先頭について,それでオンラインアプリは2013年登場,去年5月に終了でしたか:http://tod.sega-online.jp/
  • 複数の解釈*2があるときに,コンピュータでその複数の解を求められますよ,といえば,Rubyで6÷2(1+2)というのを作ったことがありました.
  • 情報通信分野の知見としては,「送信は厳格に,受信は寛容に」が思い浮かびます*3.テストで書かせるのは,訓令式でもヘボン式でもよく*4,「ローマ字表記の案内板やパンフレット」から日本語表記を得る際には実例ベースにするのが,実用的かもしれませんが,出題・採点の先生の労力は高くなってしまいますね.
  • 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)でも,毎年ではないものの,ローマ字の出題があります.平成28年度の国語Aだと「いぬ→inu」が例示され,「りんご」と「あさって」をローマ字に,また「hyaku」をひらがなにする問題が見られます.その前は平成21年度(「くすり→」「たべもの→」「happa→」)で,訓令式ヘボン式の違いは回避されています.

*1:wikipedia:ローマ字入力でも,文科省http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/nc/k19541209001/k19541209001.htmlでも,「ci」は表に出現しませんし.

*2:ローマ字から始めるのではなく,「しんじつのくち」のような,かな表記をもとに,ローマ字で表す方法を学んだり,テストで解答したりすることを想定します.

*3:そのものずばりのタイトルの記事も,http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20090909/1252441187に書いているのですが,読み直してみると,Referencesより前の,自分の話が,まったく面白くありません.

*4:認めたら今度は,sinjitunokutiのようなチャンポンが,いいのか悪いのかで論争になるのかななあ.