- 作者: 駒込連峰,松原元一
- 出版社/メーカー: 国土社
- 発売日: 1981/08
- メディア: 単行本
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巻末のp.244に,「かけ算の順序を問う問題」を見かけました.
5. 次の問題**に答えましょう.
(1) 「5つのふくろに,あめが7つずつ入っています.あめは,ぜんぶでいくつですか.」
(2) 「8つのはんに,がよう紙を6まいずつくばります.がよう紙は,何まいいりますか.」
「**」について,p.245に脚注がありました.
** この2つの問題は,乗法の意味から 7×5,6×8 という式を要求しているものである.しかし,子どもは,5×7 としたり,6×8 とすることが多い.
5×7 として誤りではない.しかし,その場合は,次のような意味を背景として理解されていての上である.
つまり,5つの袋のそれぞれに,まず,1つずつあめを入れると,5こいる.次に,2つめのあめを同じように入れると,5こいる.これを7回くりかえすのであるから 5×7 である.
この場合,子どもが,このような場面としてうけとり,それに従って考えたものかどうか,よく調べることが大切である.
ふつうは,数字の出たままに,立式していることが多い.
明記はされていませんが,「5つのふくろに…」と「8つのはんに…」の問題作成者は著者の駒込連峰であり,脚注のところを編集・解説の松原元一が書いたとすれば,違和感なく読めます.
「5つの袋のそれぞれに,まず,1つずつあめを入れると…」は,いわゆるトランプ配りです.とはいえ「5×7」も正解とする授業例は,見かけませんし,トランプ配りのその後の状況は,http://www.slideshare.net/takehikom/2x3-3x2やhttp://d.hatena.ne.jp/takehikom/20160522/1463842800で整理してきたとおりです.簡単にいうと,トランプ配りは,総数と分ける数が既知のときに,いくつずつに分けられるかを求めるための操作として,用いられています*1.
松原元一の名前で,ブログ内を検索すると,2013年はトランプ配り,1988年はアレイを見つけました.「論争の対象となっている式について,結論として明快に「正解である」「間違いである」とはしていないことです.ある条件のもとで,正解になるであろう,という書き方なのが共通しています」は,今回見てきた脚注も該当します.
*1:付け加えると,この操作は3年のわり算(等分除)のほか,1年の「同じ数ずつ」といった単元で用いることも可能です.2年のかけ算では,「いくつずつ」のほうを(文章題ではあとに出現していても)かけられる数として「×」の左に,分ける数をかける数として「×」の右に,それぞれ書くことが期待されます.