某年月日,帰宅すると,さきの子が小躍りしながら玄関にやって来ました.
長袖の服がダボダボです.「何,着とんねん」と尋ねると,「おばあちゃんの!」と,元気な答えが返ってきました.
12月になると,さきの子のお気に入りの服が変わりました.男性ものです.「おじいちゃんの!」で,相変わらずダボダボです.
(妻の)父も母も,いい顔をしませんが,厳しく叱ることも,ありませんでした.
某年月日,帰宅すると,さきの子が小躍りしながら,自分にとって見慣れた長袖のシャツをまとって,玄関にやって来ました.
自分の服です.ダボダボもダボダボです.手遅れでした.
某年月日,朝食前に,さきの子が,鬼滅の刃の最終巻を読みに,やって来ました.
部屋の入口には,数日間この子が(もちろん自宅の中だけで)着ていた,自分用の長袖のシャツを,床の上に放置していました.
無言でハンガーに掛けてから…
これを着て,仕事に行けばいい,と思いつきました.コミックを見入っている間に,気づかれないよう静かに着替えました.
夕方に,玄関で顔を合わせたとき,さきの子は,大人の服を着ていませんでした.
大人の匂いが好きというわけでは,なさそうです.自分の汗を拭ったタオルを,さきの子もあとの子も,露骨に避けます.夏場にはたびたび,「パパ,あっちに行って!」と言われたものでした.