「あ,パパ!」
「さきの子やな.車に入りや.あれ? あとの子は?」
「先生にいろいろ聞いてんねん.もうじき来ると思う」
「お前は聞かんでええんか?」
「ええねん」
「へえ.…ところでやな,今日ママ,えらい怒ってたな」
「やっぱり?」
「それも原因が,さきの子,お前らしいんやが…」
「うん…塾の開始時間が変更になったの,言うの忘れててん」
「せやってな.ママが送って,帰ってきたときには,パパは仕事から帰って,2階でくつろいでたんやが,ママがやな,おじいちゃんとおばあちゃんに,さきの子は…って文句言うてたし,夕食のときもやったんやが」
「塾に送ってもらうときに,謝ってんけど…」
「帰ったときに,もっかい謝るか」
「うん…」
「(ここでボケよう)そや,『スライディング土下座』してみるか?」
「何それ!?」
「謝罪する相手,今日やったらママやな,のところに掛けて近づいて,両膝を曲げて,この膝からスライディングしながら,最後にピタッと止まって土下座すんねん」
「ほんまに?」
「てな動画を見たことあるんやが」
「そこまでやらなあかんのかな…」
「いやいや冗談やがな冗談」
「靴ぬいでさあ,ママがこっち向いたら,廊下を走ってさあ,スライディング土下座~」
「想像力たくましいな.そんなんせんでええし,帰った直後はママ,もうそこまで怒ってないかもしれんから,元気よぉ『ただいま』だけ言うて,寝る前くらいにな,『ママ,今日はごめん.今度から気をつける』って言うたら,分かってくれるよ」
「…」
「とか言うてると,あとの子が来たぞ」
「おーい!」
「ただいまー!」
「おかえりー,ってまだ,家やないんやけどな」
「パパとさきの子で,何話してたん~?」
「今日な,さきの子の失態で,ママ,怒ってたやんか」
「そうやったね」
「(ここでもう一度ボケよう)その原因は,実はあとの子やねんでって,口裏を合わせとこかとか言うて,盛り上がっててん」
「えーそんなことしてたん!?」
「してないしてない!!」