わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

医療漫画ふたつ

今週のビジネスジャンプに「研修医少女 -レジデント・ガール-」というのが載っていて,興味深く読みました.
人間模様が描かれている,どこにでもありそうな漫画.と思いきや,「アナフィラキシー」「緊張性気胸」といった医学用語や,救急体制の「一次/二次/三次」の説明にそれぞれコマとって横書きで説明を入れていたりして,なるほどな医療漫画です.
市民病院で研修医を務めている主人公が,院長の(経営的判断による)「三次救急から // 軽症患者の受付のみの // 一次救急への // シフトとなります」を聞いて,反感を覚えるのですが,途中は略しまして,帰宅途中に出くわした事故の負傷者に対して,機転をきかせ,自分も二次災害に遭う可能性の中,勇気を振り絞って応急措置を行い救出した,となっていきます.
ひとつ,面白いといえば,その負傷者が県議の娘であり,そこから,県が市民病院に補助金を出すことで,三次救急を維持することになったところ.1世代前の漫画なら,議員さんではなく,大会社の会長だったりして*1,孫を助けてくれてありがとう,と大金をぽんと差し出すところですが,まあ現代の漫画は政治的といいますか.
医療漫画をもう一つ.木曜のモーニングの「N'sあおい」.主人公は医師ではなく看護師ですが,メディカルラリーをしているそばで多重衝突の交通事故が発生し,ラリー隊が急きょ,本物の救助をすることになりました.
それまでたしか2回,トリアージの説明が,コマ間にごく簡単に書かれていました.しかし今回はトリアージタグが出ますし,黄タグから赤タグへ変更なんてシーンもあります.
いま手元にあるのは,今週のモーニングだけなのですが,前の回に,ゲーム形式(訓練)から本物の救助に移れるのかという疑問に対する答えも描かれていました.当然,レスキュー隊はやる気十分なのですが,管理上の問題のほうが,うまい描写とセリフ運びでした.ここはメディカルラリーを管轄する大学の先生が,「責任は我々に…手柄はあなたに…」(うろ覚えです)といった言葉で,了承させていました.
今回取り上げたふたつの漫画の共通点は,上に書いたように,政治といいますか,救助シーンの外周もほどよく描かれているところ.もう一つは,「医療 = 救助」というコンテキストからの帰結とも言いますか,不安な患者を前に,「!」をつけて強く励ますシーンがあること*2

「お姉ちゃん… // 私このまま // 死ぬの?」
「そんなこと // ない // 大丈夫よ!」
(研修医少女 -レジデント・ガール-)

「すぐに救急隊が来て // 救護所へ // お連れしますので」
「は… // 早く // た… // 助け…て」
「絶対! // 絶対 // 助けます!」
(N'sあおい)

自分が仕事をしている分野でも,仕事の外周で,政治というか,研究室以外の人や機関・組織が関わるところもあります.それを認識しつつも,「仕事 = 研究」に没頭したい,学生とともに,というのが本音です.

*1:同じビジネスジャンプのSOLEILには,たしか,主人公がある人助けをしていたら面接時間に遅れたけれど,助けた人が偉いさんでってな話がありました.

*2:漫画としては「見せ場」の一つなのですが,それと別に,救助者自身を奮い立たせる効果があるのかなとも思ったりします.