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カリキュラム改定のための学生ヒアリング

学科のカリキュラムを見直し,改定*1したほうがいいのではないかという動きがあります.
私自身は,今担当の科目の範囲内で,いかに学生に,基礎知識を身につけてもらうか,面白い知的体験をしてもらうかで精一杯なのですが,先日,何人かの教員によるミーティングの準備をしている際に,「カリキュラム改定するんだったら,ワーキンググループを作って,教員間で議論をするのは当然として,そのプロセスの中に,学生ヒアリングを取り入れたら,何か面白いことが起こらないかな?」と考え,配布資料に,ちろっと書いてみました.あいにく,他の議題に集中し,そこまで議論できませんでしたが.
それで今,改めて,考えてみます.
なぜそんなことをするか? …カリキュラム改定のために,今のカリキュラムで受講している学生,これから受講することになる学生の意見を聞きたいのです.
前提を書くのを忘れていました.改定をするとして,それは,2011年度から有効になります.2010年度,つまりこの4月からの1年間は,ほんの少し変更がありますが,今のままです.
カリキュラムは,学生サイドから見ると「いつの時期に,どんな科目を受講できるか」の集合です.カリキュラム改定により,その集合の中身が変わるわけです.セメスター変更があれば,学生の受講も,それに応じて変更となります.昔話をすると,データベースという科目はかつて,6セメスター(3年後期)で開講されていましたが,ある年度に3セメスター(2年前期)に移動し*2,その後4セメスター(2年後期)に定着しています.また新設科目は,旧科目,すなわちカリキュラム改定に伴う廃止科目の「読み替え」になる場合もありますし,そうでなければ,入学時になかった科目でも,専門選択科目として受講することが可能となります.
話を戻しましょう.いや,進めましょう.
何を聞くのか? …学科の全学生が同じ経験,同じ関心を持っているわけではありません.学生個別に考えると煩雑なので,学年くらいを単位として,何を聞くのかを考えておきたいところです.1〜2年生からは主に,「科目や学習内容への期待」であり,3〜4年生からは,「何を学びたかった(学んでおけばよかった)か」と,科目間連携がうまくいっているかについて,率直なところを知りたいと考えています.なお,各科目の評価は,毎期Webベースで授業評価アンケートをとっているので,これも併用したいものです.
誰からヒアリングするか? …全員というのは手間がかかりすぎます.各学年2名ないし数名でしょうか.
今妄想している学生ヒアリングの肝心なところはここでして,学年で「代表」を決めてほしいのです.
「代表」が決まってから,当日までに学生側で事前検討してほしいし,ヒアリング後に学生間で情報交換するのもいいでしょう.
代表制度は現実のところありませんが,演習中や,講義の前後の学生の動きを見ていると,“人の集まるところ”が確実に存在します.そういう,情報交換の中心にいて,後輩のために学科をより良くしていこうという意識のある学生さんに,出席してもらえるといいのですが.とはいえ,まずは要項を決めて掲示し「公募」します.それで希望者がない学年には,授業その他で「一本釣り」をしていく必要があるでしょうね.
誰がヒアリングするか? …学科の教員です.学生に圧迫感を与えないようにするには,ヒアリングの学生と同数にするのがいいのかもしれません.学生側から,この先生に立ち会ってほしいと希望を出せる*3と,学生にも教員にも緊張感が生まれそうです*4
1回のヒアリングは,何分くらいか? …具体的に何を聞き,どう取りまとめるかにもよりますが,学生2人+教員2人なら,雑談を交えて30分くらいでしょうか.
いつ実施するのか? …5〜6月がよさそうです.4月は年度始め,7月は試験で,学生も教員も余裕がありません.受講するそれぞれの授業が軌道に乗る,5〜6月でしょう.教員側では,その後,従来どおりの方法・観点(教員の授業負担の軽減・平均化,学生に何をいつどのようにして修得させるか)で検討して改定案を取りまとめ,議論・調整を経て,12月ごろに了承と,持っていくことになります.
補足をいくつか.基本的な考え方は,「教員サイドでカリキュラムの見直しを検討しているのだけど,これについて問題意識のある学生さん,お越しください」です.成績の良い人を求めるわけではありません.留年生対策を改定の動機の一つに入れるのなら,留年生にも聞くべきではないか,という反論も予想できますが,もちろんヒアリングは「公募」なので応募してくれた人は等しく応対します.ただ,2011年度以降のカリキュラム(必修だとか選択だとか)は,2010年度までに入学した学生には効力がないのですけどね.
大学院生からは…TAを通じて聞くというので,いいのではないでしょうか.
ヒアリングは,教員室ではなく,もちろん講義室でもなく,ゼミ室の静穏な環境で実施したいところです.
ただし,ヒアリングであって,尋問ではない点については,運営上,注意が必要です.
学生から,不満や苦言が出てくることもあるでしょう.それに対して教員は,誤解を解くための事情説明をするのはいいとして,言い訳だとか弁解だとかになってはいけません.恫喝・牽制なんて,もってのほかです.
ヒアリングのアウトプットを,出席した学生と教員の間でどう持つかですが,ここにも一つ,試してみたい案があります.紙で書くのは,各自が行います.何をしてみたいかというと,ICレコーダでの音声録音です.教員側で始終を録音し,ファイルとして,持っておきます.そしてそのファイルを,メールか何かで送って,学生にも持ってもらうのです.
先ほどの話に戻りますが,「代表」の学生は,ヒアリング後にその音声ファイルを他の学生に聞かせてもいいことにします.学生間で,メールで送るということにもなるでしょう.どこかにアップロードして,アクセスしてもらうという形態をとるかもしれません*5.その可能性も考慮に入れて,ヒアリング時の教員は,言葉を選びます.実施は密室でも,音声はいくらでも外に出ることを前提として,ここでもまた緊張感を持って,ヒアリングを実施するわけです.
最後に一つ質問.そういうのを実施するとして,実施する教員側や,立ち会った教員に,どんなメリットがあるのか? …私自身は,そこで交わされる言葉はもちろんですが,少数の学生・教員間で,公開を前提とする意見交換をする場を持つことに,意義を感じています.まあ妄想ですけどね.

*1:「カリキュラム改定」と「カリキュラム改訂」をGoogleで検索すると,ヒット数がまったく同じ「約 378,000 件」.辞書で「改定」と「改訂」を見比べると…こりゃ「改定」ですね.

*2:2年生と3年生がともに履修し,しかも他学科の履修者も加わって,大変だったとおっしゃっていました.

*3:多忙その他の理由で,希望に添えるとは限らないことはあらかじめ告知するとして.

*4:もっと緊張感を持たせるには,「この先生は立ち会ってもらいたくない」という希望も出せるようにすることです.んで自分の名前が書かれてたりして.やだなあ.

*5:学生がどう使うかは,学生に委ねます.ただし,断りのない切り取りや,音声内容の改ざんが出回るのもよくありませんので,その音声ファイルをどう使用していいかについては,あらかじめ当事者間で取り決めておく必要があるでしょうね.