「お，ドアを開けようとしとるな」
「…」
「開いたな．おはよう!」
「…」
「なんや，パパぁともママぁとも，言わんのか」
「こっちではママって言うてたで〜」
「寝間から，ママの声だけかいな」
「ちょっと，面倒見たってや〜」
「はいはい．おっと，扇風機を触りだしたよ」
「…」
「面白いやろ，風が出るねんで．首も回るしなあ」
「あ〜」
「これは，せんぷうきと言います」
「…」
「ご唱和ください，せん・ぷう・き!」
「パパ何それ」
「変か?」
「ご唱和ください，って…」
「ほな変えよか．Repeat after meね．せん・ぷう・き!」
「それも変」
「まあなあ．んでこの子，な〜んも言わんと，ずっと扇風機を触っとんねんけど」
