わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

子ども手当,×から○へ

今月,娘の子ども手当のことで,いろいろ行動していました.
だいたい落ち着いたので,ここに報告します.

予備知識

とある土曜日

田植えが無事に終わり,シャワーを浴びてほっとしているところに,テーブルの上に,市からのハガキがあるのに気づきました.
文面は保護されていて,ぺらぺらっとはがすと,「子ども手当支払い通知書」でした.
なのですが,対象となる期間が,今年の2月から5月までで,支払金額が…1人分,長女ひとりの4か月分だけです.
あれっ,世帯ごとだっけと思ったら,横の注意書きにちゃんと「所得に関係なく1人あたり1万3千円(月額)が支給されます」とあります.
次女三女の分,申請していなかったってこと?
妻ともども,びっくりしました.
今あれこれ考えても仕方ないので,週明けに,市役所に電話することにしましょう.

つぎの火曜日・昼間

本当は「つぎの月曜日」に電話すべきだったのですが,仕事があわただしくて,翌日になりました.
ハガキに記載のナントカ課の番号に,かけました.
やはり,子ども手当増額の手続きが必要で,それをしていないためとのことです.
そして,今月中に手続きをすれば,来月分から支給の対象となるのですが,これまでの分は支払えません,ともおっしゃっていました.
電話を切って,自宅へ.妻に経過を報告したのですが,彼女の性格ですので憤りまして,自分から電話すると言い出しました.しょうがないので,電話番号を伝えました.
子ども手当増額の手続き,するに決まっているのに,なぜしなかったんだろう…記憶をふりしぼってみると,公務員扱いされた可能性が思い浮かびました.
そこで学部の事務の方に,この件はやっぱり自分と市との間で解決しないといけないのか,勤務先(大学)は関係ないのかを確認するメールを送り,あとは自分の仕事,具体的にはその週の金曜日の授業準備を進めました.

その日の晩

帰宅して,妻が「おかえり」のあとに言うのはやはり,ナントカ課との電話のことです.ある職員さんではラチがあかないので,上司さんに替わってもらい,さらにその上司さんとも話をしたとのこと.相当強い調子で言っても,ダメでしたか.ただ,不服申し立ての制度があり,県のカントカ課に対して行えることを,引き出しています.
夕食をとって次女三女にすまんのおといいながらあやし,それから2階でパソコンに向かうと,大学の事務の,馴染みでないお名前の方から,昼間の件で返事が来ていました.送った事務の方から,本部のある部門に,転送されていたようです.
やっぱり大学はノータッチとのことでした.かつて児童手当について,しかも和歌山大学が国立大学で,教職員は国家公務員だったときには,勤務先での手続きとなっていましたが,いまは公務員ではありませんものね.市の職員によっては,和歌山大学に勤めているといえば,イコール公務員と勘違いされたのかも,ともありました.
丁重に返信をしたあと,出生届を出したときにもらった書類を探しました.1分もせずに見つかりました.
1枚1枚,読み直していく中で,「お知らせ」というA4の紙を発見しました.「出生届を提出された後」のあとに,3項目,記されています.
まず「出産・育児一時金」は,国民健康保険ではないため,手続き不要のバツ印が,鉛筆書きで,ついています.次の「乳幼児医療費助成制度」についてはマルが添えられています.そこに書かれている,ドーノコーノ課へ行った記憶があります.
そして最後,「子ども手当制度」のところに,バツ印がつけられています.これが,子ども手当の手続きをしないよう,市役所の人が誘導した根拠になりそうです.
具体的にいうと,こうです.まず出生届の手続きにおいて,本人確認で保険証を提示しました.私の場合,文部科学省の共済組合員証です*1.職員さんがこれを見て,公務員だからということで,子ども手当の手続きは不要と判断し,説明された,という流れです.
もう一度,相談するとしましょう.妻も同意しました.翌日は仕事が立て込んでいるので,時間に余裕のある,あさって木曜日に,市役所へ行くことにしました.

2日後の木曜日

書類を渡すことになるかもしれないので,「お知らせ」ほかは,コピーをとっておきました.
9時過ぎに,妻と市役所に入りました.子ども手当のナントカ課ではなく,出生届に関係する,ナンダカンダ課へ行きました.窓口の職員さんに,「子ども手当通知書」と「お知らせ」を見せ,事情を説明したところ,課長さんという方がお越しになり,課内の打ち合わせスペースに案内されました.
事情説明やり直しですが,基本的には,なごやかなムードでした.ナンダカンダ課とナントカ課とで,協議することになりました.「お知らせ」は,渡しました.その裏面に,連絡先の電話番号を書いてほしいと言われ,職場でも自分の携帯電話でもなく,自宅の番号を書きました.
ではよろしくお願いしますということで立ち上がり,課長さんが「お知らせ」をクリアファイルに入れる際に,ちらっと別の用紙が見えたのですが,こちらの氏名や家族構成など,個人情報が書かれていたっぽいです.打ち合わせスペースに着くまで,こちらの個人情報を明かさなかったので,火曜日に妻が強く抗議したナントカ課から,このナンダカンダ課に連絡が回っていたのかもしれません*2
市役所の中で妻とバイバイをして,いつもより1時間半遅れで,仕事場に入りました.この日は5限に授業があり,残務処理をしていると,帰るのも定時の1時間半遅れです.
そうしてただいまをすると,妻から,朗報を得ました.電話がありまして,協議の結果,確かにナンダカンダ課の落ち度なので,郵送する書類に書き込めば,遡って支給するよう対応する*3,となりました.

その次の月曜日

市から封書が来ていました.中には…白紙の「子ども手当 額改定届」.何か所か,鉛筆でマル囲みがあり,付箋で記入の注意事項が貼り付けられていて,まあこれに書けばいいってことですね.
それと別に,記入済みの額改定届がありました.上に書いた「次の火曜日・昼間」,したがって前の週の火曜日のうちに,妻が東部コミュニティ*4にてこの申請をしてくれていまして,受理日のスタンプが押されています.
出生届を出した日付の「子ども手当請求書等受理票」と,返信用封筒(切手付き)も,同封されていました.
付箋の指示のとおり記入し,ハンコを押しました.「次の火曜日」の申請で受け取った(そしてその日付のスタンプがある)「子ども手当請求書等受理票」が必要ということで,妻からもらって,返信用封筒に入れました.出生届を出した日付のほうは,手元に置いておきました.

翌火曜日

投函しました.

それでも引っかかること

こちらからすることは,上でおしまいです.市役所の方々のご英断に感謝します.そして和歌山市では今後,このようなトラブルは起こらないでしょう.といっても,市民でありかつ和大の教職員が,出生届を出すケースがどれだけあるのか,分かりませんが.
それはそれとして,心の中で引っかかるものがあります.
今回の行動を乱暴に言い換えると,「バツとされたことが,抗議によってマルに変わった」のです.
当雑記の軽いエントリも長いエントリも,すべてご覧の皆様方には,もちろん,かけ算の順序だとかをめぐる論争のことを,思い浮かべられるでしょう.5×3=15と書いたらバツにされた,トランプ配り,あるいは乗法の交換法則を根拠として,マルにすべきだ…という話です.
まず思うのは,不条理に思えたとき,直接抗議をしたり,そこまで行かなくても事情を説明して相手さんの考えを引き出したり,さらにそれより外の活動として,Web上などで書いて情報交換するのは,極めてまっとうな活動である,ということです.
また,今回の件であれば市役所内,かけ算に関しては(とりあえず)小学校が,抗議に基づく主張を認める---受け入れる---か否かを最終的に判断するということになる,という共通性も,見ることができます.
そしてある意味で共通点であり,にもかかわらず結果が分かれてしまうのが,「根拠」の存在とその活用です.実際のところ,バツ印つきの「お知らせ」という物的証拠がなかったら,ここまでの行動はできませんでした.かけ算の件はどうでしょうか.数学者の著書を中心として,マルにすべき根拠が知れ渡ることとなりましたが,その一方で,大きめの書店に行くか,教育学部のある大学であればその蔵書から,あの件の出題意図を知ることができます.それらでもいいですし,ブロガーなどの紹介文・批評文も読み比べた上で,あとは初等教育機関に直接関与しない者として,どちらの主張が教育にかなっているかを判断すればいいのです.
今回のドタバタで,手元に残った書類は,スクラップブックにでも入れ,大事に保管するとします.次女三女が成長し,生まれたときのことを知りたくなったときに,家の写真,乳児としての双子の写真とともに,取り出して,解説をしてやろうと思います.そのときには,子ども手当の制度は,残っているでしょうか.家ではまだ,田植え稲刈り畑仕事をしているでしょうか.そして私自身,笑い話にできるでしょうか.
(同月24日にタイトルを変更しました.)

*1:文部科学省共済組合 | 共済組合の概要

*2:別の可能性として,ナンダカンダ課の最初の窓口で,「子ども手当通知書」を預け,それが返却されるまでの間に,個人情報を取り寄せていた,というのも考えられます.さてそんなふうに預けたんだっけか….

*3:ただし,妻からの伝聞ですので,実際に「落ち度」「遡って」と電話越しで言われたかどうかは,分かりません.

*4:「申請」だけなら市役所へ行かなくてもできるということです.婚姻届なども,そこへ提出したとのこと.私はいまだに,そこへ行ったことがありませんが.