「1」ばかり出てきますが10進法を前提とます.1は,自然数です.11も,111も,1111も,自然数です.
「111...1」により有限桁で表される値は,自然数です.n桁のとき,その数はとなり,nに任意の正整数を代入して,どの場合にも正整数となることが確認できます.
では,「111...」と,1を無限に並べたものは,自然数となるでしょうか.
上の式でnを∞に置き換えると,発散するので,それは自然数全体からなる集合Nに属さない,というのが,素直な考え方です.
別の方法でも,Nに属するとすると,おかしくなることが示せます.「111(無限個の1)1」の値をxとおき,x∈Nと仮定します.このxに対し,10x+1を考えます.これは,xのそれぞれ桁の数(どれも1ですが)を一つ上の位に移動し,一の位を1とした数です.
xと区別するよう書くなら,「111(無限個の1)11」です.
なのですがこれは,xそのものです.
そこでx=10x+1という一次方程式が成り立ちます.これを代数的に解くとです.しかし上のとおり,そのような負の分数と異なる「111(無限個の1)1」もまた,この一次方程式の解となるというのです.これは,「複素数係数の任意のn次多項式は,複素数の根を(重複度込みで考えれば)ちょうどn個持つ」 (wikipedia:代数学の基本定理)と矛盾します.
他の「無限の並び」も同様です.結局のところ,「無限桁の自然数は存在しない」のです.
このことに基づくと,対角線論法は,次のとおりとなります(全称記号の使いどころ).
- 区間[0,1]*1は可付番(可算)ではない.可付番と仮定したとき,要素をどのように数え上げても,(その数え上げに依存して定まる)xについて,x∈[0,1](xはその区間の要素である…数え上げの中に入っていなければならない)であり,しかしxはその数え上げの中に出現しないので,矛盾となる.
- 自然数全体からなる集合Nについて,ある数え上げ(具体的には,昇順)に対して,対角線論法で用いられる手続きでxを構成すると,x∈Nではない(xは自然数ではない…数え上げの中に入っていなくてよい)ので,矛盾は生じない.
無限を含む演算は,取扱注意なのですが,上のような「素朴な考え方」は,個人的には中学で最初に見かけました.0.111…がとなる証明*2を,数学の教科書の囲み記事で読みました.
次の機会は,大学2年の専門科目で,母関数を学習したときです.wikipedia:母関数の「通常型母関数」には,当時を思い出す式がいくつかありました.
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(最終更新:2013-11-04 朝.長野県松本市の静養先より/昼過ぎに修正)