Common Core State Standards for Mathematicsのp.88にある「Table 1. Common addition and subtraction situations」を訳してみました.
xlsxファイルとpdfファイルをダウンロードできるようにしました.
原文はhttp://www.corestandards.org/assets/CCSSI_Math%20Standards.pdf#page=88で読むことができます.その次のページは,かけ算・わり算の表です.
Q: かけ算・わり算の表は訳さないの?
A: 『算数授業研究 VOL.89』p.57*1に,日本語訳された表があります.
Q: Common Coreなんとかって,アメリカの? 世界基準?
A: アメリカで普及させようとしている基準です.作成・公表しているのはThe Common Core State Standards Initiativeという団体で,数学(Mathematics)のほかに英語(English)の基準もリリースしています.
Q: その基準って,日本の学習指導要領みたいなもん?
A: 内容としては学習指導要領解説に相当します.Common Core State Standards for Mathematicsでは,小中高そして幼稚園までを対象として,学習事項が書かれています.
Q: じゃあアメリカでは,その内容で教科書が作られているの?
A: いえ,教科書検定の制度はありませんからね.どうやらこの基準は,学力評価をする(テスト問題を作るなどの)際の根拠となるようです.
Q: 日本とアメリカとで,やっぱり違うの?
A: 似ているところも違うところもあります.たし算・ひき算からだと,増加で変化量が未知の場面は,日本では「加法と減法の相互関係」に対応づけて2年で学習するのが一般的です*2が,アメリカではたし算として,1年で学習することが想定されています.詳しくは「ぜんぶで」メモ2をご覧ください.
Q: 合併の式に「(???)」とあるけど,日本の算数にはないの?
A: 0プラスやプラス0を含めて,多数の式が出てくるような事例(加減算の授業やテスト問題)が思い浮かばないのです*3.最も関連しそうなものは,都算研の学力調査で,「□−□=9」の穴埋めで等式を2つ作らせる問題(*)です.
Q: 「3+2=5 (2+3=5は?)」ってどういうことですか?
A: 指導例としては一方(カッコなしのほう)だけれど,テストではカッコ書きのほうも正解としている事例があるので,カッコをつけて区別しました.足算の順序に概略を載せています.
Q: で,「増加」「求残」「合併」「求差」は,必要なの?
A: 教える側は,認識しておく必要があるように思っています.特定の意味だけで演算を指導する(例えば増加の場面ばかり教える)のでは,子どもたちがその後の学習や,日常生活の中で,「これはたし算だ」と認識できる場面がより少なくなるのが予想できます.
意味を細かく分けることで,意味間の比較も可能となります.たし算については増加よりも合併(あるいは「部分-部分-全体の関係」*)が,かけ算については積よりも倍が,それぞれ重要であること,またわり算については等分除の方が包含除よりも子どもたちの理解が困難であることは,算数教育や教育心理学の知見と言っていいように思っています.かけ算については数学の知見も加えさせてください.
(最終更新:2013-12-20 朝)