「…ぱぱ,ぱぱ!」
「ん? すえの子よ,どした?」
「パパ,見ちゃってくれる?」
「iPadで動画を見たいねんな,貸してみな…あれ」
「あかんのん?」
「おうよ.このiPadなあ…認証ミスで,5分間使えやんねん」
「何かあったん?」
「先日,暗証番号の設定をしたんやが…まあおそらく,すえの子が適当に触ったかして,『認証でけへん』になりおったな」
「できやんのかいな」
「まあすえの子よ,5分ほど待っとき」
「…」
「何かこの子のために,でけるもんないかな…」
「すえの子ちゃんね,そういえば昨日,いろんな会話してたんやで」
「ん? どんな会話なん」
「あなたのおなまえは?」
「わがやの,すえのこです!」
「な! 言うやろ」
「『です』までつけて,言いおるんか」
「おとしは?」
「…あい,です」
「ん!?」
「2歳です,って答えるんやで!」
「そうなんか」
「…」
「宇宙の果ては,どこにありますか?」
「あのねえ」
「うお,答えようとすんのかお前は!?」
「賢いで,この子」
「とか言うてると,認証でけるようになったぞ.ぽんぽんのぽんっと…ほれ,使いな」