「『検索の達人を目指せ!』のお話しは以上です。引き続き,我々の研究室で用意しました『検索High&Lowゲーム』のルールを説明します。
習うより慣れよ,と言います。検索をしながら,達人を目指してください。
ルールは簡単です。何でもいいので,検索してください。ただし,使えるコンピュータは,スタッフ指定のものだけです。この(プレゼンに使用している)PCと,あちらの机にあるPCの,2台です。
検索したら,メッセージが出ます。そしてしばらくすると,表が書きかわります。しかし画面の表は,ちょっと小さくて見えにくいですね.ブラウザの,今の状態に切り替えましょう.表は…こうなっています。
番号(No.)は,上のほうが大きくなっていますが,先に検索した言葉が下,最近のものが上という順番です。オレンジと青は,まずは気にしないでください。見ていただきたいのは,白地に黒の文字の,『ヒット件数が512万よりも大きくなるような検索語にしてください』のところです。そういう検索語を募集中ですので,何か入れたいのですが…
最初の1つは,こちらで打ち込みますので,どなたか,何かコレというのを,おっしゃっていただけますか?
『おもしろ科学まつり』ですね。どうも,ありがとうございます。これを検索(タブを切り替えて,Googleのページを表示させ打ち込む)してみると…検索結果ページのほか,小さなメッセージが出てきます。
読み上げますと,『検索語「おもしろ科学まつり」,ヒット数「1030000件」を,登録しました』です。
では,先ほどの表を見ましょう。タブを切り替えて,再読込すると…
はい。このようになりまして,先ほど,ヒット件数が512万よりも大きくというのは,残念ながら失敗しました。
ところで表ですが,番号はひとつ増えて51となり,『ヒット件数が103万よりも大きくなるような検索語にしてください』に変わっています。
このようにして,本日ご来場の方々より,検索語を打ち込んでいただき,1日でどんな言葉が書かれるかを記録に残していきたいと思います。挑戦するヒット件数は,直前の検索で出てきた数です.なお,『大きく』ではなく『小さく』のときもあります。
やってみたいという方は,PCの前にお越しいただき,どうぞご使用ください」
なにこれ
本日,大学内で開催された公開体験学習会の実演です.青少年のための科学の祭典 -2015おもしろ科学まつり- 和歌山大会は土日開催でした.ご来場いただき,ありがとうございました.
私は今年度,これら2つの実行委員から外れまして,2階の一室での展示に専念しました.「お話し」は,PowerPointを使った説明で,3年連続になります.まったく同じというわけではなく,情報がツリーで管理されている,というスライドの中に大きな木の画像を入れ,「これは,木ですね.英語にすると,ツリーです.ちなみにこれは,この〜きなんのき♪というテレビCMのもとになっている木だそうです」としゃべって笑いを取りました.
お話しのあとのゲームは,前回・前々回のものから一新しました.ルールは上記のとおりです.前回までは,ヒット数が小さくなるものを目指すとしていましたが,それでは著名人でない人物名が非常に小さくなる(そしてそういった検索語をランキングに残したくない)という企画面の問題のほか,検索結果の常時監視をするFirefox用アドオンが,Firefoxのバージョンアップにより使えなくなったという技術的な課題もありました.
今回,10月下旬の研究室のゼミで,背景とゴール(11月15日の公開体験学習会で使ってもらう),認識している課題をリストアップし,学生には企画班と技術班に分かれて,調査・検討してもらいました.だいたいこれでいけそう*1と,目途をつけたら,あとはこちらで時間をとってコーディングし,当日の利用となったわけです.
実現にあたっては,FirefoxのGreasemonkey用ユーザスクリプトを書きました.検索結果ページからヒット数を,URLから検索語*2を取り出し,研究室内のWebサーバに送りました*3.したがって,Googleのサーバには余分な通信をしません.研究室内のWebサーバでは,情報を受け取ってファイルに保存するCGIスクリプトを作りました*4.それと別に作成した,表生成スクリプトを実行すれば,表が更新されるという次第です.
来場者はというと,「生徒どうし」と「家族連れ」に大きく分かれました*5.生徒どうしはわいわいがやがやで,悪のりでお下品な検索語を入れ,こちらで削除することもありました.家族連れは,子どもがPCに向かい,お父さん・お母さんがアドバイスをします.ローマ字を習ったばかりで,打ち込んでみたいけれど,打ち込む言葉が思いつかないという3年生の児童がいたほか,子どもが思いついた検索語に対し,「それだと,もっと大きくなるんじゃないかなあ」と言って,再考を促す状況が何度かありました.このアドバイスは,子どもが検索の達人になるための大事なものと思いました*6.
2台同時使用(ただし表は一つ)というのも,効果的だったようで,失敗と思って表を更新したら,もう1台のほうの登録のおかげで成功になっていることもありました.
なお,はじめの説明で貼り付けた図は,実施前のテストで,自分が行った検索語に基づきます.当日作られた表の公開は,差し控えたいと思います.
(最終更新:2015-11-24 朝)
*1:ゲーム説明で書いた「本日ご来場の方々より,検索語を打ち込んでいただき,1日でどんな言葉が書かれるかを記録に残していきたいと思います」については,http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20150304/1425416046に書いた,りんごのインタラクティブアートに着想を得ました.
*2:検索結果ページからも検索語を獲得できますが,日本語入力未確定中の値を獲得することがたびたびあり,使用しないことにしました.
*3:この際,HTTPSで送りました.googleのページはhttp/httpsいずれもありますが,httpsのページから,他ドメインでもhttpで送ると,「混在コンテンツ」のエラーが出て,Webサーバに送ることができませんでした.混在コンテンツはhttps://developer.mozilla.org/ja/docs/Security/%E6%B7%B7%E5%9C%A8%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%86%E3%83%B3%E3%83%84に詳しく書かれています.
*4:クロスドメイン対応については,CGIスクリプトのヘッダで「Access-Control-Allow-Origin: *」を出力しました.
*5:1人でお越しになり,イスに座っていただいたのはいいけれど,説明を待たずに退室された方には,申し訳なく思っています.
*6:ヒット件数が大きいだとか小さいだとかは,いわばお遊びであり,実用的には,欲しい情報が上位に来るような検索をするための技能を身につけることが望まれます.