「さて,次にせなあかんのは…」
「パパぁ」
「ん? うえの子か.パパちょっと仕事してるんでな.あんまし邪魔せんといてな.まあ,部屋におる分にはええで」
「パパに,これあげる」
「はいはい…ああ,シールか」
「ふたごの,ネコさんやで」
「せやな」
「ふたご! ふたご!」
「えっと,あとの子も来たんか(騒がしくなってきたなあ)」
「パパさあ,このシール,このへんにはっていい?」
「んん…いやいや,あかんあかん! 貼ったらあかんぞ!!」
「あかんのん?」
「あちこち貼り出したら,部屋がごちゃごちゃして,汚ななるねん! 剥がすのも面倒やし」
「わかった」
「貼るのは自分のノートにしなさい」
「はーい」
「はーい」
「まあしかし,こういったシールを貼りたい気持ちは,分からんでもないが…」
「あのさあパパ」
「どした?」
「パパもちっさいころ,こんなシールあったん?」
「ああ,(ニッポンハムなんかの,たぶん商品についていた)シールを,台所のいろんなとこに貼って,母親に叱られたなあ」
「しかられたん? あっちのおばあちゃんに?」
「せや」
「おにいさんは」
「ああ,うちの兄貴なあ…いっしょに,貼って喜んでたな」
「へえ,おもしろい!!」
「(面白いんかい! それとおっちゃんのことを,おにいさんかいな)迷惑をかけんように,シールで楽しむんやで」
「はーい」
「はーい」
10分後に階下では,1枚のシールを巡って2人の娘が涙を流すまでの取り合いに….