リンク感謝.それはさておき所感を*1.
- 「かけ算の順序を問う問題」には続報あり.
- 小学2年生と大学生との比較が,紀要論文になっているんだが.「かけ算の順序を問う問題」でも,取り上げているんだが.出題・正答基準・結果が載ったページを,画像化した人もいるんだが.
- (こういう詮索は自分のポリシーに反するのだけれど)途中で参照している総合初等教育研究所は岐阜県に事務所を置く一般財団法人*2.ブログ主氏は岐阜県の方なので,ご存知だとは思う(以前に言及済みか?)けれど念のため.
- 3年生で正解率が下がる件は,3年の教科書でアレイ図を使って例えば10×4でも4×10でもよいと学習しているのが一因か.なお,4年では小数×整数(累加で計算可能; Greerによる分類の"Equal measures"が典型),5年では整数または小数×整数(意味の拡張が必要)を学ぶので,被乗数と乗数の区別が必要なシチュエーションは続く.
- 「式の表現が児童の発想を忠実に反映するとは言い切れない」「その発想が式に全て表現されていると思うのは危険である」について,算数教育においてこれを支持する人・論文・書籍を国内外で見たことがない.はっきり言ってただのトンデモ.もっと信頼できる主張や実績に依拠しよう.「数量関係」の領域を学び直せ.
- 「子どもの発想は、多様である」は,おそらく算数教育の現場の方が先行しているし知見も充実していると思う.「思う」「思う」と言うのは勝手.主張を裏付け,他の人も検証できるものがないと,説得力に欠ける.出題や授業の実例を外に頼っているのが,「かけ算の順序」を持ち出す人々の実情.自戒をこめて書く.
- 算数教育の論文・書籍でよく目にするのは「発想」ではなく「方略(strategies)」.ただし,かけ算の順序の文脈では思い浮かばない.かけ算に限定しなければ,英語論文で思い浮かぶのが1つ,国内にもひき算とわり算で1つずつ.
*1:前回の所感:http://d.hatena.ne.jp/takehikom/20150921/1442773125
*2:文溪堂と住所が完全に一致.