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排他的論理和の事例

いきなりですが問題です.

暗号や計算機処理とは別に,排他的論理和が用いられている事例を挙げてください.

前々回の授業では,使い捨てパッド,ストリーム暗号,DESとAESを解説しました.これらの暗号アルゴリズムでは,排他的論理和(exclusive OR, XOR)を使用しています.そこで終了時のまとめテストで,上記の出題をしました.
といったところで解説(前回授業)です.
「この問題の答えとして,まず,思い浮かんでほしいのは,『階段の電灯のスイッチ』です.
階段の上と下に,スイッチがあるとします.2つは同じ形をしていて,『上げる』ことと,『下げる』ことができます.
初期状態をたとえば,どちらのスイッチも『下』で,電灯はついていないものとします.
そこで下にいる人が階段を登る前に,スイッチを『上』にします.すると,電灯がつきます.階段の上のスイッチは,誰も操作していないので『下』のまま,下のスイッチは『上』で,オンというわけです.
この人が階段を登り切り,スイッチを下から『上』にすると,電灯がオフになります.上のスイッチ,下のスイッチとも『上』です.
他の人が,また階段を登るときは,階段の下のスイッチを上から『下』にして,電灯がつき,階段を登り終えてから,階段の上のスイッチをこれまた上から『下』にすると,またも電灯が消えます.
ここまでを整理すると,2つのスイッチがともに『下』,またはともに『上』のとき,その電灯はオフとなり,2つのスイッチの一方が『上』でもう一方が『下』のときには,オンとなっています.
まさに排他的論理和です.なお,これは電気回路により構成することができまして,コンピュータ,言い換えると電子的な制御が不要ですね.
電灯のスイッチと排他的論理和の関係は,高校の物理のテストや,基本情報技術者の過去問などからも,見ることができます.URLを書いておきますので,授業後にでもアクセスしてみてください

さて,排他的論理和の事例について,みなさんの答案を集計しますと,別のタイプの答案を,見ることができました.
それは『結婚』です.
日本国憲法第24条には,『婚姻は両性の合意のみに基いて成立し』うんぬんとあります.そんな条文を持ち出すまでもなく,結婚できるのは男と女の間に決まっているのであり,男どうし,女どうしでは,結婚できない.これもまた排他的論理和を表している…
はい,答案としてはOKです.
ですがしかし,『同性結婚』についても,配慮をすべきかもしれません.東京都渋谷区などの自治体では,『結婚に相当する関係』『男女の婚姻関係と異ならない程度の実質を備える関係』などとして,同性の結婚を認める条例ができています.
『結婚』を『出産』に置き換えると,どうでしょうか.より正確には『同性妊娠』となります.今のところ同性妊娠は,海外事例としてネットで見つけられるけれど,同性婚LGBTに代表される,性の多様性において,よく議論されている段階には見えません.
とはいえ,結婚や妊娠・出産における男女の関係が,排他的論理和にならないよと言いたいわけではありません.排他的論理和を,日常の事例に置き換えることができ,必要に応じて説明できれば,よしとしましょう」


Q: 途中のURLが,授業ページからの解説と違うのは,どうしてですか?
A: 情報の多様性を尊重したいからです.というのは嘘で,解説のスライドをつくる際に見かけたうち1つのURL(PDFファイル)を,スライドに入れ,2つを上に示したという次第です.
Q: 最後のところ,本当に「説明できれば,よし」でいいんですか?
A: はい,電灯でも婚姻でも出産でも,相手に理解できれば「よし」です.ですが「結婚」の要件を使って,排他的論理和を説明しようとすると,聞き手が「でもさあ」と,同性婚を持ち出す可能性もあります.というわけで,排他的論理和の説明として男女のことを挙げるのは,失敗しやすそう,という認識も持っています.