わさっきhb

大学(教育研究)とか ,親馬鹿とか,和歌山とか,とか,とか.

指数的に小さくなるもの

いきなりですが問題です.

Feige-Fiat-Shamirの認証プロトコルは,秘密の情報を持っていない者がなりすまして,そのプロトコルを1回実行したとき,成功する確率は\frac12ですが,n回実行して,すべて成功する確率は(\frac12)^nとなり,成功確率は指数的に小さくなっていきます.
繰り返し実行すると,確率または何らかの値が指数的に小さくなるような,日常生活の事例を答えなさい.

「サイコロを振る」「鉛筆を転がす」「コイントス」は,日常そんなにしないと思いますので禁止とします.これらよりもよく行う,よく見かけるものを,選びましょう.
さっそくですが誤答です.授業で尋ねたところ,「宝くじ」という答案がありました.よく読むと,当たりの確率が,桁数の指数関数になっているという主張です.4桁一致するのは\frac1{10000}で,5桁一致するのは\frac1{100000}.一般化してn桁一致するのは,\frac1{10^n},と.
ココロは伝わりましたが,問題文の「繰り返し実行すると」に合っていないようにも見えます.5桁一致すれば当たりという宝くじで,n枚購入して当たりを得る確率は,ユニットだとか複数当たりだとかいった,複雑なことを考えなければ,\frac{n}{100000}となります.
次に,私としては正解にしたいけれどキズがあるなと思った答案は,「トーナメント戦の勝ち残り数」です.1回,戦うと,残りが半分になります.n回なら2^n分の1です.
キズというのは,回数に上限がある点です.優勝者が決まり,勝ち残りが1になったら,そこで対戦はおしまいです.さらに半分また半分と,できませんからね.
さて,指数的に小さくなる日常事例としては,独立試行と見なせるものを選ぶのが妥当かと思います.1回の成功確率は,1より小さい定数とモデル化します.実際,その種の答案が多く見られました.
その中で,もっとも簡潔で分かりやすかったのは,「ゴミ箱にゴミを投げ入れる」です.
次に,今どきっぽいのは「ソーシャルゲームのレアアイテム獲得」でしょうか.上に書いた宝くじの件と同じで,1回だけ獲得なら,引く回数に比例します.しかし引くたび引くたびレアアイテムをとなると,そんなになる確率は,指数関数と見なしていいでしょう.
最後に,「リムーバブルメディアの認識」というのも,面白い視点だと思います.実際には,ある学生は「USBメモリ」,他の学生は「SDカード」を挙げていたのですが,意図は共通していて,それとPCまたは読み取り機に接続したときに,きちんと認識してくれるとは限らず,ダメな場合には差し直す必要がある,というイライラ感が,その答案に反映されていました.
今年度の情報セキュリティの授業では,授業中のキーワードに対して,関連する日常生活の事例を答えてもらう小問を多く取り入れました(授業で話したこと・話せなかったこと).期末試験で出題しにくいのが難点です.