「おはよう」
「ママか,おはようさん」
「ちょっとノートパソコン使うね」
「ああはいはい…そうやそうや」
「どしたん?」
「パパのパソコンのキーボードの横にやな,昨日な…」
「…」
「先週,買ぅた,さくらんぼのアメが置いてあったんや!」
「ああ,あれね」
「覚えてたか.たしかプールの帰りで,子らには100円までいうて,お菓子を選ばして,パパはこのアメ取って,んで,パソコン机のいっちゃん上に置いたんやな」
「…」
「それを,子どもの誰かが見つけて,食べおったみたいやな.見事に何粒か,減っとんねん.全部食わんかっただけマシやが…」
「それねえ,さきの子ちゃんやねん」
「ほお,ほな起きてきたら,説教しちゃらなな」
「せやねんけどな,ママも1粒,もろてん」
「ん? 何やなんや」
「昨日,ちょっと喉の調子が悪かってね.そのことを,さきの子ちゃんに言うたら,ここにアメあるでって,このさくらんぼのアメを取ったんよ」
「パソコン机に足を置いて,か?」
「せやねん.それで,1個ずつ食べよっかって,ママとさきの子ちゃんと,あとの子ちゃんの分,もろてん.ごめんね〜」
「うむぅ,そんな事情があったなら,一方的に説教でけんなあ」
「『パパのアメ,食べたぁ?』って,ニコぉってしながら,聞いたらええねん」
「食われたアメは,合計3個やねんけどなあ」
「っと,このタイミングで,無言ですえの子がやってきたか.おはようさん.アメはあげへんで.しっかり朝ごはん食べんななあ.夕方にでも,パパがおって,アメが残ってたら,またおいでや」