夕食後に,自室で仕事をしていると,下のフロアから,「スリッパがないぞ! またや!」の声が聞こえてきました.
(妻の)父の声です.
自分の足元を見ると,父のスリッパを履いていました.あわてて降りました.
それで…自分のスリッパに足を入れたあと,そのスリッパをじっと見下ろしました.
「パパ,どしたん?」
「んん…間違えやすいんで,どないしたらええかと思てやな」
「おじいちゃんのと?」
「せやねん.…よし,スリッパに名前を書こう.うえの子よ,ぶっといペン,持ってきてくれるか?」
「わかった」
スリッパを脱いでから,黒の油性ペンのキャップを開け,左と右に「パ」を書きました.
「よっしゃ,できた」
「パ,なん?」
「せや.こっちが『パ』.こっちも…」
「あ! パパ,スリッパかして…アイハヴァ・パ〜♪」
「うわ,PPAPかよ」
「アイハヴァ・パ〜♪ アー♪ パパ〜♪」
「はいはいそこまでな.ちなみに左と右の区別がないスリッパなんで,ときどき反対に履き替えるんやからな」