「さて…今日は日記に何を書こかいな」
「♪〜」
「すえの子は,ご機嫌やなあ」
「(ドアを開けて)ねえパパぁ」
「ん? うえの子か」
「じょうぎ,ある?」
「えっと,定規なあ…」
「あるで!」
「すえの子ちゃん,持ってるん?」
「これ!」
「あたしにくれる?」
「ええよ!」
「おいおい,そんなに簡単にあげてええんか」
「それでねパパ,ペンある?」
「ペン? ボールペンでええか(渡す)」
「(定規の上で書いてみて)えっと,あかんなあ」
「定規の上で,何しとんねん」
「名前,書きたいねん.学校で使うから」
「ほお,学校へ持ってくんかいな」
「こっちのペン,いい?」
「油性ペン,なあ…ふだんは子どもらに使うなっちゅうとるけど,名前を書くんやったら,使こてええよ.手ぇには,つけなや」
「ありがと.ここで書くわ」
「机の上,明かりつけや…」
「あとな…名前を書くときに『あたしの』はあかんで」
「うえの子よ,何ここで腰砕けになって笑ろてんねん」
「だってパパぁ,変なこと言うもん.『あたしの』って書くわけないやん」
「すまんかったな.きちんと書いてまいや」
「(無言で書いて…)はい,できた.ペン返すね」
「あいよ.ちなみに,さっきのボケにはバリエーションがあってやな」
「…」
「あるところのおばあさんが,お漬物を作ってて…」
「瓶にな,『今年の』って書いてんねん」
「それもあかんやん(笑)」
「せやねん,『今年の』がよおけできて,いつのか分かんようになるっちゅうやつな.それはさておき,大事に使いや」