「ここまで,pwd,mkdir,cd,そしてcp,mv,catといったコマンドを実行して,ファイルを操作してきました.ここでみなさん,少し手を休めて,こちらの話に耳を傾けてください.
この段階で,理解しておいてほしいことの一つは,『ホームディレクトリ』と『カレントディレクトリ』の区別です.
ホームディレクトリは,アカウント(みなさんが大学のPCを利用する権限)とともに割り当てられたディレクトリです.
ですので我々は,自分のホームディレクトリを,変えることはできません.
その一方で,大学に在籍する間は,アカウントがあり,そしてホームディレクトリが保証される,と言うこともできます.この中で,ディレクトリやファイルを作ったり,移動させたり,消去したりできるのです.
それに対してカレントディレクトリは,cdコマンドなどの実行に応じて,変えることができるディレクトリです./usr/binなど,ホームディレクトリの外に,移動することもできます.
区別してほしいと言いましたが,端末(正確にはシェル)の実行開始時には,カレントディレクトリは,ホームディレクトリと同一です.
たとえるなら,ホームディレクトリは『自宅』,カレントディレクトリは『現在地』,といったところでしょうか.
それから,cdコマンドを実行の際,引数を与えると,そのディレクトリに移動することになりますが,最後に実行したもらったとおり,引数なしのcdコマンドは,ホームディレクトリに移動します.
初代ドラゴンクエストになぞらえると,cdコマンドは,呪文を唱えればラダトームの城に戻ることのできる,ルーラのようなものです」