論文を書くときに、「序論を最後に書け」と百回くらい言ってきたのに、なぜかみんな論文の「はじめに」を本論を書くより先に書いてしまう。そんなことできるわけがない。できるわけがないことをしているからどうしても無理が出るし内容も薄っぺらくなる。
— マンヤオベガススタイル (@Nishimuraumiush) 2019年3月7日
これ、同業の方、どうやって矯正してます?
当研究室での卒業論文指導においては,「書きやすいと思うところから書くといいよ」と伝えています.「最初の章と内容梗概の中身は,最後に書くといいですよ」を言うのは,その次です.それでも(こんな指示の仕方だからか),今年度,最初の原稿チェックの際,内容梗概や,本文の最初の節はある程度書いていて,それに対し実施内容の章節は番号と見出しだけという原稿を見かけました.
ということで書く順序にこだわるわけでも,矯正に賛同するわけでもないのですが,「序論を最後に書け」と指導してきたにもかかわらず,序論から書き始めた(途中段階の)原稿が届いたというのであれば,指導する側のリアクションとしては,「序論は読みませんでした.○.○節に関して…」のように,意図的に読み飛ばすのは,どうでしょうか.添削(赤入れ)をするのでも同様で,序論以外をびっしり赤にすればいいのです.
自分の学生時代に,教官に原稿を見てもらい,序論を読み飛ばされたというのは記憶にないのですが,ある論証において,「ここが分からない.これより先は読んでいません」いう赤入れが返ってきたことはあります.赤の入り具合が,明瞭に異なっていました.
さて,冒頭のツイートを目にし,とくに「百回くらい」「みんな」のあたりから,効率良く,質の高い論文を書くことを指導する段階ではないなと感じました*1.時間をかけて苦労して作って,それを指導者が見て,一部または全部をカットする(著者である学生の納得は必要ですが)ことがあってもいいと思います.そこで本記事では「卒業論文指導」と限定しました.修士論文執筆の場合,これまでの卒業論文や,学会発表の予稿があると期待できるので,まずはそれを貼り付け,それからリライトすればいいのです.卒論・修論よりも学会発表が先という人は,ページ数の制限を踏まえ,学会発表用の予稿の書き方*2を指導教員から教わっているはずなので,対象外としています.
研究から離れますと,書く順序に関して,「さらが 5まい あります。1さらに りんごが 3こずつ のって います。りんごは ぜんぶで 何こ あるでしょう。」*3の文章題で「5」,「×」,「3」を右から左に並べて「3×5」の式を立てる子がいたとして,叱りつける必要はないでしょう.割り算に関しては,ホワイトボードに「÷」,「6」を右から左に書き,「6÷」という表示で「6で割る」を表している解説動画を見ることができます(二重数直線〜2012年アメリカ,1980年日本 - かけ算の順序の昔話).