「おはようさん…」
「パパ,おはよう」
「おはよう!」
「んむ,あとの子に,すえの子やな.さきの子は,寝間か?」
「ちゃうよ」
「ここにおんねん」
「え…おっと,イスの上で,丸まっとんのか.寝間着のままで」
「そのうち着替えるよ」
「そっか.さて朝ごはんをいただくかな」
「パパ,あさごはんには,これでしょ」
「すえの子よ,気が利くなあ…」
「こらこら,すえの子よ,『じーっ』って言いながら,こっちを見るな.海苔,ほしいねんな?」
「ちょうだいっ」
「はいはい.まずは5切れを取り出して…」
「パックのほうは密封して…」
「1切れだけ,手にとって,ピリピリと…」
「(3分の1は,こんなもんかな)ほら,すえの子の分」
「パパ,ありがと~」
「(残りを二等分…ちょっと失敗した.ちっさいほうは,さきの子にやるか)」
「ほら,あとの子と…」
「さきの子はまだ寝てるんか…と思たら,手ぇだけ出してきおった.ほらよ」
「すえの子ちゃん…」
「なに?」
「すえの子ちゃんの,のりのほうが,おっきい」
「そんなことないよお」
「え? あとの子は,受け取った海苔がちっさいっちゅうんか?」
「ふ公平やん!」
「いやこの海苔なあ,きれいに三等分するの,難しいんや」
「あとの子と,すえの子のんは,大差ないんや.ただ,さきの子の分は…ちょっと,ちいさなってもたかな」
「(無言で食べる)」
「納得してくれたか」
「おっ,さきの子が,体を持ち上げたぞ.何やねんその鬼の形相は」