「なんということでしょう…」
と,ママ・さきの子・すえの子の前で言い,ひと呼吸を置いてから,同じ口調で
「洗面所の下着入れの,パパの引き出しには,パパのカッターシャツが,入っていました…」
と言うと,3人とも大笑いしました.あとはいつもの言い方で.
「おかしいやん」
「誰よ,そんなん入れたん」
「あとの子ちゃんとちゃうかなあ」
「そういえば,あとの子は,どこなん?」
「2階やで」
「そっか」
2階に上がると,あとの子は机に向かって,本を読んでいました.
「なんということでしょう…」
「洗面所の下着入れの,パパの引き出しには,パパのカッターシャツが,入っていました…」
「(いつもの口調で)あとの子よ,無視か」
「うん,どうでもええもん」
「下で聞いたところ,カッターシャツを入れたんは,あとの子とのことなんやが」
「そんなんええやん」
「いや引き出し開けるとき,いつもと違うもんがあって,びっくりしてんからな」
「…あたしですよ,入れたのは」
「そっか,下着入れには下着だけを入れてくれよな」
「はーい」
「あれ? 今開いてるの,『薬屋のひとりごと』の巻末やないか?」
「パパこれ知ってるの? お姉ちゃんがブックオフで買ってきたんやけど」
「……なんということでしょう」
薬屋のひとりごと 2巻 (デジタル版ビッグガンガンコミックス)
- 作者:日向夏(ヒーロー文庫/主婦の友インフォス),ねこクラゲ,七緒一綺,しのとうこ
- 発売日: 2018/02/24
- メディア: Kindle版